フェルスタッペンの驚異的な速さの理由は何? 14番グリッドから18周目に首位に立った「異次元」の走り (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

同僚ペレスも完敗を認めた

 このフェルスタッペンの驚異的な速さの理由は何だったのか?

 理由はいくつか考えられる。ひとつは、スパ・フランコルシャンという特殊なサーキット特性にレッドブルのマシンが完璧にハマったということだ。

 スパはセクター1とセクター3が低速コーナーひとつ以外は全開区間であり、薄いウイングを装着して空気抵抗は極力減らさなければタイムを稼げない。しかし、セクター2には中速・高速コーナーが連続し、ダウンフォースも必要とされる。

 つまり、薄いウイングで大きなダウンフォースを生み出すことができる「空力効率の高いマシン」が強い。一方、最大ダウンフォース量が多くても、空気抵抗が大きければ遅い。

 これまで圧倒的な最高速を誇ってきたことからもわかるように、レッドブルRB18は空力効率の優れたマシンであり、それがスパ・フランコルシャンでは完璧にマッチしたというわけだ。

 しかしそれだけでは、ペレスとの差に説明がつかない。

 ペレス自身が完敗を認めるように、フェルスタッペンは中高速コーナーが連続するセクター2でRB18を完璧に乗りこなしてみせた。ここだけで0.448秒もの差をペレスにつけている。これは、リアが軽めのマシンでも難なく限界付近でコントロールしてみせるフェルスタッペンの能力と、彼好みのマシンセットアップの仕上がりによるものだろう。

 ちなみに噂されていた軽量化モノコックは投入されておらず、この先数戦でも投入の予定はない。車重は前戦ハンガリーGPと同じであり、今回の速さも軽量化によるものではないと、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表が明確に否定している。

 そして最後に、このベルギーGPから施行されたポーポシング対策の技術指令が、もともと縦揺れの大きかったフェラーリに影響したという見方もある。レッドブルは縦揺れが少ないマシンであり、影響はほとんどなかったとホーナー代表は語る。

「新しい技術指令書の影響についてはさまざまな予想がされていたが、我々はマシンの運用面で特に変更を加えていないし、実際のところ我々以上にライバルたちのほうが影響を受けたようだね。ここはオールージュがあるので車高の設定がいつも問題になるが、それは我々だけの問題ではないし、どのチームも同じだしね」

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