ホンダF1の4年目は屈辱的危機から最高のスタートへ。トロロッソとの出会いが運命を変えた (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

【日本人を熟知していたトロロッソ】

 田辺テクニカルディレクターはRA618Hについてこう語る。

「基本コンセプト、つまりMGU-H(※)などのレイアウトは変えていません。ただし細々したところ、昨年壊れたところや懸案があるところは変えてきています。ある部品(の開発者)の立場でいえば、小さなパーツでも丸ごと変わっていれば、それは"ガラチェン"だという人もいるでしょう。それなりにいろんなところを変えて、正常進化をさせて連続的にアップデートしてきています」

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 トロロッソは、かつてラルフ・シューマッハのマネージャーとして日本で1年間過ごしたフランツ・トストが代表を務めており、日本人の性格や文化を熟知していた。それをチーム全体に理解させるために文化講習会を開いたり、とにかくチーム全体がホンダを歓迎するムードに包まれていた。

「トロロッソのホンダに対する姿勢は、我々の思うことや懸案を伝えるとそれをきちんと聞いてくれて、何が最善の方法なのかを一緒になって考えてくれます。『それは知らない、そっちで片づけて』なんていうことは一切ありません。『なんでも言ってくれ、逆に我々もなんでも言うから、一緒に考えて一緒にクルマを作ろう』という姿勢はものすごく感じました」(田辺テクニカルディレクター)

 ルノー製パワーユニットを前提に開発が進められていたSTR13も、突然のパワーユニット変更にもかかわらず、思いのほかスムーズに開発は進んだ。テクニカルディレクターのジェームス・キーはパワーユニット変更を受けてマシン後半部分の開発に専念するという判断を下し、RA618Hのコンパクトさが大きなアドバンテージになったと説明する。

「車体の性能を左右する最も重要な要素は、やはり空力だ。その点、ホンダ製パワーユニット(のコンパクトさ)はリアのパッケージングの大きな助けになった。ギアボックスに対しても、まったく新しいアプローチをしてマシン構造を見直したしね。

 現時点では、フロントのエアロは昨年型の正常進化型でしかないが、マシンのリアは極めて新しい。昨年型マシンでは空力面に問題があったけど、その解決作業はうまくいったよ」

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