F1参戦3年目、マクラーレン・ホンダはバラバラ。アロンソに「こんなことなら、去年のエンジンでよかった」と言われ... (2ページ目)
【退路を断って白紙から再設計】
2016年末の旧型パワーユニットよりも出力が下がったのだから、マクラーレンが落胆と怒りを露わにしたのも当然だった。長谷川総責任者は、開幕前のテストでの苦戦にこう語っていた。
「ものすごく大きなチャレンジであることは間違いありません。結局のところ、まったくの白紙から再設計をしましたから、1年目みたいなものなんです。ただ、去年までの延長線上で戦っても、それ以上大きく伸びる可能性がありませんでしたから、そういう選択をせざるを得ない状況だったわけです。
フェルナンド(・アロンソ)には『こんなになるなら、去年のエンジンでよかったよ』と言われてしまいました。だけど、この判断自体は間違っていなかったと思っています。現時点では準備が足りていない、ということなんです」
退路を断ったうえでの開発----。すでに土台があるメルセデスAMGやフェラーリは、多少の設計ミスがあっても立ち返る「通過点」がある。しかし完全刷新のホンダは、新コンセプトの設計に失敗すれば「スタート地点」まで逆戻り。まさにそんな状況に追い込まれ、前年よりもパワーが低いという状態になってしまったのが、RA617Hのスタート地点だった。
しかし、このチャレンジなくして未来はない。旧コンセプトのままでは、絶対にメルセデスAMGやフェラーリを凌駕することはできない。
「RA617Hは2016年の5月から開発をスタートしたばかりで、この新しいコンセプトのエンジンにはまだ1年もかけていないわけです。まったく新しい燃焼形態になっていますから、わかっていないことがいっぱいありました。
(副室燃焼は)燃焼室内での燃やし方にコツがあるようで、苦戦しています。メルセデスAMGやフェラーリは、そこがきちんと理解できているんでしょう。そのコツさえわかってしまえば、我々もうまくいくのかもしれませんが。
ただ、わかったとしても、それを実用化するためにはハードウェア(ICEの燃焼室)を変えないといけなくなるかもしれません。いずれにしても、すぐに大幅な性能向上は見込めなくて(年間4基の交換タイミングで)シーズンを通して開発を進めていくしかないと思います」(長谷川総責任者)
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