F1デビューの角田裕毅の同期がド派手だ。シューマッハJr.の実力は (5ページ目)

  • 川原田剛●文 text by Kawarada Tsuyoshi
  • 熱田 護、桜井淳雄●撮影 photo by Atsuta Mamoru, Sakurai Atsuo

 オンラインでのインタビューとはいえ、大勢のメディアを前にして、一切の照れやリップサービスもなく、これほど堂々と語れる日本人ドライバーがいただろうか。角田にはこれまでの日本人ドライバーにはなかった才能と可能性を感じる。

 ファンの間では早くも日本人としての初めての優勝、そしてチャンピオン獲得を期待する声が高まっているが、現実的にはアルファタウリでは優勝は難しいかもしれない。しかし、レッドブルに新加入したセルジオ・ペレスが前任者のアルボンのように力を発揮できず、シーズン中に角田がトップチームのレッドブルに昇格するチャンスがあれば、日本人初の優勝もあり得る。それだけに、夢が大きく広がっていく。

 ただし、目の前にあるのは夢ばかりではない。忘れてはならないのは、角田はレッドブルの育成プログラム「レッドブル・ジュニアチーム」の一員としてアルファタウリのシートを得たということだ。レッドブルの育成プログラムの責任者を務めるヘルムート・マルコ博士は才能のある選手には惜しみないサポートとチャンスを与えるが、「コイツは使えない」と判断した時の対応は情け容赦ない。シーズン中であっても、他の育成ドライバーと入れ替えたり、場合によってはお払い箱にすることもある。

 レッドブルの育成プログラムの目的は「未来のF1チャンピオンを見つける」こと。若き日のセバスチャン・ベッテルや現在のフェルスタッペンのように、常にチャンピオンになる可能性を見せ続けなければ、未来はない。厳しい環境で角田は戦いに挑むことになるが、日本のファンが抱く長年の夢、日本人ドライバーの勝利をぜひ実現してほしい。

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