ルール改正等エアレースは波乱含み。室屋義秀が描く総合優勝への構想 (4ページ目)
それでも、「どんなにルールが変わろうが、コンスタントにファイナル4に進出することが、世界チャンピオンに近づく道であることに変わりはない」と室屋。いい意味で王座奪還の意気込みを感じさせない、落ち着いた口調が印象的だ。
「昨年は(0ポイントのレースが続き)厳しい時期もあったが、その時々で対策は十分やってきた。新シーズンだからといって特別なことをする必要もないし、淡々とレースをやって、淡々とポイントを稼ぐ。それだけでしょうね」
ただ、今季を展望するうえで少し気になるのは――パイロットの手ではどうすることもできないことなのだが――今季予定されている全8戦のうち、2戦が開催日も場所も発表になっていないこと。さらには、7月にハンガリー・ブダペストで予定されている第4戦の開催が危ぶまれているとの情報まであることだ(現地報道によると、ブダペストのイストバン・タルローシュ市長が、地元住民の騒音被害や日常生活に支障をきたすことを理由に、少なくとも昨季までと同じドナウ川での開催を許可しない旨の声明を発表した、という)。
「正直、こういう状況ではモチベーションを保つのが難しい」
室屋は苦いものでも噛んだようにそう語り、自らに言い聞かせるように言葉をつなぐ。
「でも、難しい状況だからこそ、気持ちを切らさずにやれば、勝ちやすいとも言えるし、とにかくレースに集中するだけ。そのときにできるベストを尽くすしかない」
大きなルール改正。そして、不透明なレース日程。波乱含みの新シーズンは、まもなくその幕が切って落とされる。
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