徹底検証・屈辱の参戦1年目。ホンダのF1復帰は早すぎたのか?

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 F1の進歩に戸惑いながら迎えた開幕戦では、予想外に暑いメルボルンの温度コンディションに合ったパワーユニットのセットアップが用意できず、大事をとって出力を下げた状態で走らなければならなかった。それが、冒頭に述べた散々な結果につながった。

「熱の問題に起因することなんですが、確認していないものをぶっつけ本番で使うわけにはいきません。だからそれを避けて、MGU-K(※)は100%フルに使っていませんし、エンジン側も出力的には相当下げた状態で使わざるを得ませんでした」(新井総責任者)

※MGU-K=Motor Generator Unit-Kineticの略。運動エネルギーを回生する装置。

 しかしこのとき、ホンダはもっと重大な問題に直面していた。ターボチャージャーとMGU-H(※)からのエネルギー回生量が、設計上の想定値を大幅に下回っていることが判明していたのだ。

※MGU-H=Motor Generator Unit-Heatの略。排気ガスから熱エネルギーを回生する装置。

 トラブル続きの開幕前テストの結果を踏まえて対策を施し、FIAのホモロゲーション(仕様認証)を受け、「これで今季を戦う」とした最終実戦仕様――。そのパワーユニットをメルボルンで初めて実走させた段階で、ホンダはそのことを知った。ただ、これが今シーズン大きな足枷(あしかせ)となり、最後までホンダを悩ませ続ける"ディプロイメント(エネルギー回生)不足"の大きな原因になろうとは、彼ら自身もまだ気付いてはいなかった。

2 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る