【F1】ホンダ、火を噴く激走。最終戦12位・17位でも笑顔の理由

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 午後5時を過ぎて太陽が西に傾くと、アブダビの空はオレンジ色から濃紺、紫、漆黒へ刻々と色を変えていく。F1マシンたちがフロアを路面にヒットさせるたび、飛び散る火花はより鮮明に見え始める。19戦で唯一のトワイライトレースの魅力は、その"マジックアワー"にある。

マクラーレン・ホンダは最終戦でも試行錯誤しながらレースに挑んだマクラーレン・ホンダは最終戦でも試行錯誤しながらレースに挑んだ なかでも派手に火花を散らしていたのが、マクラーレン・ホンダの2台だった。火花どころか、ずっと床下から火を噴きながら走っているように見えるほどにだ。

 どのマシンも、高速のストレート区間後半では火花を散らしている。それは、わざとフロアの先端を路面にこすりつけて床下へ気流を流さず、ダウンフォースも空気抵抗もカットしてしまおう、という車高セッティングを施しているからだ。コーナー旋回中は床下に気流を流してダウンフォースを得て、ストレートで車速が上がるに連れてダウンフォースがさらに増し、車体が押しつけられて沈み込むと床をこするという「絶妙の車高」に設定する。

 つまり、ダウンフォースが必要ないストレートでは路面にこすり、ダウンフォースの必要なコーナー区間ではこすらない――。それが、理想的なセッティングだ。しかし、マクラーレンの2台はコーナー区間でも、派手に火花を散らしていた。これでは、床下のダウンフォースが抜けてしまう。

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