【エアレース】今季2度目の表彰台。
室屋義秀、最終戦で初優勝へ!

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 しかし、悔しさの一方で、室屋は自戒するようにこうも語っていた。

「誰がどう見ても(ペナルティの)疑惑を持たれないように飛ばなければいけない。それをコントロールするのがパイロットの役割だ」

 9月26、27日にアメリカ・テキサス州のフォートワースで行なわれた今季第7戦。残る2戦にかける室屋のフライトを見ていて、彼が第6戦後に残した、そんな言葉を思い出した。

 26日の予選。各パイロットが苦しんでいたのは誰もが同じポイント、第7ゲートから第8ゲートのターンだった。

第7戦の予選で、室屋は自己最高タイの2位 ©red bull第7戦の予選で、室屋は自己最高タイの2位 ©red bull ほぼ横一列に並べられたこのふたつのゲートを、パイロットたちは180度旋回、すなわちUターンするようにして通過しなければならない。だが、第7ゲートを抜けた後、ターンを小回りにして最短距離で第8ゲートに入ろうとすれば、ゲートに入る角度がきつくなり、パイロンヒット(ゲートにぶつかる)やインコレクトレベル(機体を水平にできず、傾けたままゲートを通過する)のペナルティを犯す可能性が高くなってしまう。かと言って大回りにターンして角度に余裕を持たせれば、楽にゲートを通過できるが、距離のロスが生じてしまい、当然、その分タイムは落ちる。

 果たしてパイロットたちは多少の差こそあれ、小回りにターンをしつつ厳しい角度で第8ゲートに向かうことを選択したのだが、その結果、次々にペナルティを取られていった。第8ゲートは、このレースのまさに鬼門となっていた。

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