【エアレース】「修業が足りない」。室屋義秀が苦しんだオーストリアの風 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 室屋はそれまで4番ゲートを通過後、ほぼ水平にターンして5番ゲート方向へ向かうラインを取っていたが、それでは風に流されて回り切れないと判断。少し上方向に角度をつけてターンすることで対応しようとした。

 それでも「5番ゲートを(水平に)通過するにはバンク(機体の傾き)がギリギリになる」ことは分かっていた。ゲートを通過する際に機体が傾いていればペナルティ(2秒加算)が取られてしまう。そこは際どい勝負だったが、5番ゲートもうまく通過できた、ように見えた。室屋自身、「ライン変更はうまくいったし、タイムもよかった」と振り返る。

 しかし、下されたジャッジは無情にも5番ゲートでのペナルティ。「インコレクトレベル(水平に通過せず)」との判定だった。

 結局、室屋はこの2秒のペナルティが響いてラウンド・オブ・14で敗れた。前回の第5戦に続く、2戦連続表彰台を狙った室屋にとってはあまりに早すぎる敗退だった。

 レース直後は「ビデオで見てもペナルティではないんじゃないか」と語り、判定への不満を漏らしていた室屋。と同時に、「最初(1組目)と最後(7組目)では2秒くらいタイムに差があるからね」と、突如襲った不運を嘆くような言葉も口にした。

 だが、ひとしきり悔やんだ後は次第に表情にも穏やかさを取り戻し、室屋は明暗を分けたペナルティについて「誰がどう見ても疑惑を持たれないように飛ばなければいけない」と語り、こう続けた。

4 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る