【エアレース】「修業が足りない」。室屋義秀が苦しんだオーストリアの風 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 そんな自然との闘いが勝負の行方を左右したのが、9月5、6日に行なわれた2015年シーズン第6戦である。
 
 会場となったのは、オーストリアのスピルバーグにあるレッドブル・リンク。F1オーストリアGPが開かれることで知られるサーキットは、山のすそ野に位置しており、辺りはスキーリゾートとしても知られる。いわゆる"山の天気"が当たり前の環境は、気象条件がコロコロと変化する。

 実際、レース前の9月3、4日は1日を通じて天候が安定せず、雨、晴れ、曇りと短時間で移り変わり、5日はほぼ1日中雨が降り続けた。結局、4日のトレーニングセッションは予定時間を少しずらして実施されたが、5日の予選は中止となっている。

 そして迎えた6日の本戦日。前日とは打って変わって朝から日が差し、絶好のエアレース日和に恵まれたかに見えたレッドブル・リンクは、全7組の1対1によるマッチプレー方式のラウンド・オブ・14が始まると、突如自然の猛威を振るい始めた。

 3組目が始まるころから吹き始めた風は、急激に強さを増し、地上に立てられた看板や鉄柵がバタバタと倒れ、コース内でもエアゲート(気圧の違いで膨らませている円すい状の2本のパイロン)が大きく揺れ動いた。

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