【エアレース】室屋義秀が強くなったからこそ味わう「勝つことの難しさ」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 そう話す室屋は、2戦連続予選2位という好結果にも淡々とした様子で、「フライトは非常に安定している。あまり心配する要素もないかなという感じ」と、高まる自信を隠そうとはしなかった。

 しかし、室屋はまたしてもラウンド・オブ・14の壁に阻まれる。

 1対1のヒート方式で行なわれるラウンド・オブ・14では、先に飛んだ予選13位のマティアス・ドルダラー(ドイツ)が1分2秒072を記録。前日の予選に当てはめれば11位相当に過ぎなかったが、「(気温上昇で)全体にタイムが伸びていなかったことを考えれば、いいフライトだった」と室屋は分析していた。それでも、「十分にまくれるタイム」というのが実感だった。

 にもかかわらず、そのタイムを超えられずに敗れた。レース後、室屋が思わぬ敗退の裏側を明かす。

「離陸前にコンピューターのシステムが全部ダウンしてしまって……。いろいろ試したけれど復旧しなくて、結局手探りの状態で飛ぶことになってしまった」

 言うまでもなく、レース機はパイロットが手動操縦している。搭載するコンピューターがシステムダウンしても、基本的なフライトには影響がない。

 とはいえ、コンマ数秒を争うエアレースでは徹底したデータ分析が勝敗を分ける。室屋の場合もタブレット端末がコックピットに取りつけられ、さまざまに収集したデータから瞬時に計算された情報をディスプレイすることで、パイロットの判断をサポートしている。例えば、室屋が第2戦(千葉)で犯したオーバーGによるペナルティ対策などはその最たる例だ。室屋が力なく語る。

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