【F1】開幕前テスト終了。現時点の勢力図はどうなっている? (2ページ目)
信頼性に着目してテストでの走行距離を見ていくと、ここでもウイリアムズが圧倒的な強さを誇った。実際、トラブルらしいトラブルは発生しておらず、極めてスムーズなテスト進捗にチーム内の雰囲気はすこぶる明るい。
一方、メルセデスAMGは初回のヘレステストで最も順調な滑り出しを見せたものの、テスト最終週になってパワーユニット側のみならず車体側に細かなトラブルが続発し、「僕らはまだ信頼性が十分じゃないし、走れば走るほど新しいトラブルが見つかり、それに対処していっている状態だ」(ニコ・ロズベルグ)という。
テストでの合計走行距離で3番手に付けたフェラーリにしても、パワーユニット運用の煮詰めは完璧とは言えず、レースシミュレーションを行なったバーレーンテストの最終週でも制御ソフトウェアのトラブルが次々と発生するような状態。マシンセットアップもタイヤテストも十分にこなすことはできなかった。また、100kgの燃料で走り切らなければならない決勝レースでの燃費マネージメントでも苦労し、パワー不足とペースの遅さに悩んでいる。それは、フェラーリユーザーチームのザウバーやマルシアにも影響を及ぼすだろう。
「走る度に新たな修正箇所が見つかっていくし、3回のテストを見る限りではメルセデスAMGとウイリアムズがいい。それが現実だ」(ドメニカリ代表)
ルノー勢(レッドブル、トロロッソ、ロータス、ケータハム)は1月末のヘレステストからトラブルが続発し走り込みが十分に行なえなかったが、バーレーンテスト最終週になるとパワーユニット側の問題はほとんどなくなった。あったとしても物理的な破損ではなく制御ソフトウェアの問題だけで、間違いなく進歩は見られており、開幕までにきちんと対策が施される可能性は高い。
ただし、パワーユニットの問題のせいで走行ができなかったために、車体側のテストができていない。そのため、車体側のトラブル潰しがまだ完全にできておらず、とくに、攻めたマシン設計のレッドブルはその余波を大きく受けることになった。ルノー勢はどのチームもマシンのセットアップなどが進んでおらず、まだ非常にドライブしづらい状態で、データ収集のために周回数を重ねただけだった。
そのためペースは明らかに遅く、ストレートの最高速もメルセデスAMGより30km/hほど遅い。「フォーミュラ・ルノー」とでも呼ぶべき別カテゴリーにしてもらわないと、ルノー勢は「予選107%ルール」(予選ポールポジションのマシンの周回タイムの107%以内を記録できないマシンは、決勝出場権が無効となる)のクリアもままならないのではないかというブラックジョークもパドックで囁(ささや)かれるほどだ。そんな中でも、「レッドブルはトラブルが直れば侮れない存在になる」と、どのチーム関係者もレッドブルが大化けする可能性を秘めていると声を揃える。
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