【エアレース】「空のF1」が復活!「侍パイロット」室屋義秀の挑戦 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Asada Masaki

 そこで注目したいのが、レッドブル・エアレースにアジア人として唯一参戦している室屋義秀である。

 室屋は昨年エアロバティックス(曲技飛行)の世界選手権で6位となるなど、世界トップレベルの飛行技術を誇るパイロット。また、自身の活動拠点を福島に置くことが縁で、12年に福島県の「あったかふくしま観光交流大使」に就任。 全国各地でのエアショー開催や、子どもたちの未来をサポートするプロジェクトへの参画などを通じて、福島の復興を支援している。

唯一のアジア人として参戦している室屋義秀は奈良県出身の41歳唯一のアジア人として参戦している室屋義秀は奈良県出身の41歳 そんな室屋は09年からレッドブル・エアレースに参戦し、今年が3シーズン目。年間総合順位は09年13位、10年12位(いずれも全15パイロット)にとどまっているが、09年の最終戦で6位になるなど、上位を狙える力があることを証明している。

 今年の目標に「全8戦をコンスタントに飛ぶこと」を掲げる室屋は、開幕戦前日のトレーニングセッションを終えた段階で、こう語った。

「3年半ぶりのレーストラック(での飛行)でドキドキしたけど、楽しく飛べた。結果は後からついてくるもの。(機体の)コントロールをもう少し安定させて、確実に(レースの)感覚を養うのが大事になる」

「楽しく飛べた」の言葉どおり、トレーニング2本目には5位のタイムを叩き出し、「(上位と下位の)タイム差がもっと出ると予想していたが、意外とみんな接近している」と室屋。「(予選は)面白くなりそう」と語り、笑顔を見せた。

 果たして室屋は、予選8位で最終日の本戦へ。マッチプレイ方式(予選順位に応じて、1位対12位、2位対11位......、6位対7位が対戦し、勝者6名+敗者のなかから上位タイムの2名が勝ち上がる)で行なわれる「トップ12(準々決勝)」では優勝候補のハンネス・アルヒと対戦し、力の差を見せつけられた。

「トレーニングセッションで自分なりに攻めて出したタイムを、(予選からトップ12では)みんなが越えてきた。本番でもう一歩踏み込めないと、上位には食い込めない」

 そう言って悔しさを露(あら)わにした室屋。結局、最終順位は9位。ポイント獲得となる「スーパー8(準決勝)」進出はならなかった。

 開幕戦を飛んでみた実感としては「(トップレベルと自分との)機体の差が1秒はある」と室屋。だが言い換えれば、機体以外の差は「自分のテクニックで詰めていける」ということでもある。

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