天皇賞・春は今年好調なキズナ産駒は外せない 好走実績豊富なハーツクライ産駒にも注目 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki

 デインヒルは今年のGⅠでもポイントになっている血で、ジャスティンミラノのほか、高松宮記念(中京・芝1200m)を勝ったマッドクール(父ダークエンジェル、祖母の父デインヒル)、大阪杯(阪神・芝2000m)を制したベラジオオペラ(父ロードカナロア、母の父ハービンジャーの父系祖父がデインヒル)の3頭がその血を持っている。

 サヴォーナは、競走成績を見ても長距離適性を感じさせる。全3勝は福島・芝2000m、阪神・芝2400m、福島・芝2600mで重賞勝ちはないが、GII神戸新聞杯(阪神・芝2400m)2着、菊花賞(京都・芝3000m)5着、GII日経新春杯(京都・芝2400m)2着と、長距離の重賞で好走を繰り返している。前走の阪神大賞典は3番人気で6着と人気を裏切ったが、重に近い稍重馬場がこたえたようだ。馬場が極端に悪くならなければ巻き返しは可能だろう。

 もう1頭はスカーフェイス(牡8歳、栗東・中竹和也厩舎)を推す。父ハーツクライの産駒は天皇賞・春での勝利こそないものの、2014年からウインバリアシオン、フェイムゲーム(2015年)、カレンミロティック(2016年)、シュヴァルグラン(2017年、2018年)と5年連続2着、3着も2015年のカレンミロティック、2016年のシュヴァルグランと2回あり、過去10年で延べ7頭が馬券に絡んでいる。加えて、スカーフェイスの伯父は、2005年に13番人気でこのレースを勝ったスズカマンボという血統だ。

 スカーフェイスの競走成績を見ると長距離の実績に乏しく、全5勝は1600m~2000m。ただ、前走の大阪-ハンブルクC(阪神・芝2600m)では勝ち馬から0秒3差の4着に入っている。本馬のベストレースは、1分44秒8の好タイムで勝利した昨春の大坂城S(阪神・芝1800m)だが、伯父のスズカマンボも天皇賞・春を勝つまでは2000mまでの距離でしか勝利がなかった。

 そもそも2400m以上の出走は、大阪-ハンブルクCと、3歳時に2着に入った生田特別(阪神・芝2400m)など3戦だけ。出走歴が少ないだけで、血統背景からは長距離適性を秘めている可能性は十分だ。

 以上、今年の天皇賞・春はキズナ産駒のサヴォーナ、ハーツクライ産駒のスカーフェイスに期待する。

プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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