競馬予想にひと役! それぞれの産駒の得意舞台がわかる「種牡馬適性分布図」

  • 平出貴昭●文 text & illustration by Hiraide Takaaki

 ふだんは「血統から見るレース展望」をしていますが、今回は「種牡馬の適性分布」について紹介いたします。

 筆者は種牡馬に関する仕事が多く、年がら年中、種牡馬についての調べ物をしています。日本にはたくさんの種牡馬が供用されていますが、もちろん、短距離向き、長距離向き、芝向き、ダート向きなど、それぞれ産駒の特徴は異なります。

 その特徴を"見える化"したら便利だろうと思い作ったのが、「種牡馬適性分布図」です。お酒や果物などでよく見るチャート図を、種牡馬の適性に当てはめたものです。

2023年のJRAサイアーランキング50位までの種牡馬を対象に作成した「種牡馬の適性分布図」2023年のJRAサイアーランキング50位までの種牡馬を対象に作成した「種牡馬の適性分布図」この記事に関連する写真を見る 図の見方を簡単に説明しましょう。縦軸が距離で、上が長距離、下が短距離。横軸が芝とダートで、右が芝、左がダートという分け方です。

 今回掲載するデータは、2023年のJRAサイアーランキング50位までの種牡馬を対象に、今年3月10日までのJRA全成績の勝利距離の平均と、芝、ダートの勝利数の比率を基に種牡馬を配置。地方や海外で顕著な実績を残している馬については、補正を加えています。

 たとえば、オルフェーヴルは芝比率が約57%なので、当初は真ん中より右に位置していましたが、マルシュロレーヌ、ウシュバテソーロ、ショウナンナデシコなど海外や地方のダートで実績を残した馬が多いことから、ダート寄りに移動しました。ちなみに、障害の勝利は平均距離に大きな影響を与えるので除外しています。

 種牡馬は系統別に分けていますが、ターントゥ(Turn-to)系は芝の1600mが多く、ネイティヴダンサー(Native Dancer)系は真ん中付近に位置する万能型が多い印象で、系統ごとの大まかな系統もつかめます。

 この分布図を頭に入れておけば、馬券の予想はもちろん、POGの選択馬や共有クラブの出資馬選びにも役に立つかもしれません。今後は、100頭バージョンのデータ作成も考えていますので、お役立ていただければ幸いです。

プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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