安藤勝己が悩み抜いて選定した「3歳牝馬番付」 激戦の牝馬クラシックで勝ち負けを演じるのは? (4ページ目)

  • 新山藍朗●取材・構成 text by Niiyama Airo

小結:コラソンビート(牝3歳)
(父スワーヴリチャード/戦績:6戦3勝、2着1回、3着2回)

 前々走の阪神JFが3着で、前走のGIIフィリーズレビュー(3月10日/阪神・芝1400m)が2着。3連勝を飾ったあとは、上位にはくるが、あと一歩勝利には届かないというレースが続いている。

 それでもこの馬を見限れないのは、3着だった阪神JFのレースぶりに見どころがあったからだ。上位2頭からは1馬身4分の1差をつけられたものの、この馬自身、パタッと止まったわけではない。ジリジリとではあったが、最後までしっかり伸びていた。

 それを思うと、「これで負けたら仕方がない」といった覚悟のレースをすれば、大舞台でも一発逆転の可能性があるのではないかと踏んでいる。

 過去2戦の敗因は、差してもいい脚が使えない"差し味"が不足しているから。桜花賞でも同じレースをしたら結果は見えているが、今度は差すレースではなく、先行して粘るレースをすれば......わずかながらチャンスは見えてくる。

前頭筆頭:スウィープフィート(牝3歳)
(父スワーヴリチャード/戦績:6戦2勝、2着2回、3着1回、着外1回)

 前走のGIIチューリップ賞(3月2日/阪神・芝1600m)は"ハマッた"感じがあるものの、強かった。自分はもともと、阪神JFのレースぶりを見て「この馬は走る」という印象があった。

 阪神JFでは、出遅れたことが痛かった。さらにそこから、強引に位置を取りにいって、脚を使ってしまった。結果、7着に終わった。

 ただ、上位3頭からは離されたが、4着以下とは差がなかった。あの競馬でも、そこまで踏ん張れるのだから、「この馬、結構走る」と思った。

 その印象が実証されたのが、前走。そもそもの能力はかなり高いと思う。しかしながら、ここまでに6戦を消化。クラシックで勝ち負けするには、やや使いすぎか。馬体的にも少し線が細く、奥の深さを感じない。

 とはいえ、スイープトウショウの孫という血統は魅力。その血統背景が大きな舞台での好走をあと押しする、というシーンがあるかも......。

        ◆        ◆        ◆

 今年のクラシックは、間違いなく混戦だ。ただし、オークスまで視野に入れたとき、1勝馬など現時点でクラシック出走の権利がない馬にもチャンスがあるか? というと、自分は「それはない」と思っている。

 なぜなら、そういった馬たちが勝った新馬戦、未勝利戦に、それほどインパクトのある勝ち方をした馬がいなかったからだ。ゆえに、今年の牝馬クラシックはここに名前を挙げた馬たちを中心に進んでいくのではないだろうか。

安藤勝己(あんどう・かつみ)
1960年3月28日生まれ。愛知県出身。2003年、地方競馬・笠松競馬場から中央競馬(JRA)に移籍。鮮やかな手綱さばきでファンを魅了し、「アンカツ」の愛称で親しまれた。キングカメハメハをはじめ、ダイワメジャー、ダイワスカーレット、ブエナビスタなど、多くの名馬にも騎乗。数々のビッグタイトルを手にした。2013年1月31日、現役を引退。騎手生活通算4464勝、うちJRA通算1111勝(GI=22勝)。現在は競馬評論家として精力的に活動している。

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