有馬記念はGⅠ未勝利の4歳牝馬が推し レース適性が高いスクリーンヒーロー産駒のラストランにも期待 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki

 過去30年の有馬記念では牝馬が4勝、2着6回の成績を残しているが、そのうち5回の2着が前走エリザベス女王杯。中でも、2020年のサラキアはライラック同様に牡馬相手の重賞勝ちがなかったが、エリザベス女王杯2着から11番人気で有馬記念に出走し、タイム差なしの2着と激走。さらに2017年のクイーンズリングも、エリザベス女王杯7着から8番人気で2着と健闘している。ちなみに激走した牝馬2頭は、いずれも秋初戦にGⅡ府中牝馬Sを叩き、有馬記念が秋シーズン3戦目というローテーションだった。これはライラックとも共通する。

 ライラックは中山で唯一の重賞勝ちを収め、その他はGⅢ紫苑S3着、GⅡ日経賞4着と中山で計3戦して1勝、3着1回、4着1回と崩れておらず、コース実績も十分。昨年のエリザベス女王杯2着も叩き3戦目だったので、ローテーション的にも好感が持てるだけに激走に期待したい。

 もう1頭はウインマリリン(牝6歳、美浦・手塚貴久厩舎)を押す。父スクリーンヒーローの産駒は、2015年の勝ち馬で翌年も3着に入ったゴールドアクター、昨年に6番人気で2着に入ったボルドグフーシュと、全3回の出走機会ですべて3着以内と抜群のレース適性を示している。昨年も、スクリーンヒーローの後継種牡馬であるモーリスの仔、ジェラルディーナが3着に入っており、スクリーンヒーロー系は有馬記念の4戦すべてで3着以内に入っていることになる。

 ウインマリリンは2021年のGⅡ日経賞、GⅡオールカマーと、中山・芝2200m以上の重賞を2勝しているのを含め、全6勝のうち4勝を中山競馬場で挙げている。今年6歳、有馬記念が引退レースとなるが、昨年は世界の強豪を相手にGⅠ香港ヴァーズを制した馬で、今年も米GⅠBCフィリー&メアターフで4着とまずまずの走りを見せた。ラストランの激走に期待したい。

 以上、今年の有馬記念は、オルフェーヴル産駒ライラック、スクリーンヒーロー産駒ウインマリリンの牝馬2頭に期待する。

プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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