阪神JFを血統から分析 過去の好走馬と「血統の共通点」が多い2頭に期待 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki

 特にレシステンシアは、母の父リザードアイランドがデインヒルダンサーの産駒であり、祖母の父がサドラーズウェルズ産駒のポリグロート。1代ずつ血は薄くなっているが、母の父デインヒルダンサー系、祖母の父サドラーズウェルズ系という血統構成も共通だ。

 ちなみに、今年のGⅠマイルチャンピオンシップ(京都・芝1600m)を勝ったナミュールは母の父がダイワメジャー、父がデインヒル系のハービンジャーという血統で、同馬を逆にしたような配合ともいえる。

 アスコリピチェーノの脚質は、2019年に阪神JFのレースレコードとなる1分32秒7で逃げ切ったレシステンシアとは異なるが、最近のダイワメジャー産駒はアドマイヤマーズ、セリフォスなど差し脚鋭いタイプのGⅠ馬も増えてきている。アスコリピチェーノもその流れに乗りたいところだ。

 もう1頭はシカゴスティング(牝2歳、栗東・庄野靖志厩舎)を推す。同馬はデビュー2戦目の新潟・芝1400mの未勝利戦を快勝後、OPフェニックス賞(小倉・芝1200m)を勝利。前走のGⅢファンタジーS(京都・芝1400m)では3着に入っている。

 血統でいうと、父ロゴタイプはGⅠ皐月賞(中山・芝2000m)、GⅠ安田記念(東京・芝1600m)、GⅠ朝日杯フューチュリティS(中山・芝1600m)などの勝ち馬。また、同馬の産駒ラブリイユアアイズは、2021年のこのレースで8番人気ながら2着に入っている。

 ラブリイユアアイズは札幌・芝1200mで新馬勝ちし、クローバー賞(札幌・芝1500m)で2連勝。続くGⅡ京王杯2歳S(東京・芝1400m)で3着に入ってから阪神JFに臨んでいた。シカゴスティングとは「芝1200mで勝利」「オープン特別で勝利」「前走が芝1400m重賞で3着」「1600mは未勝利」「社台ファーム生産馬」と共通点が多い。

 牝系を見ると、伯母にGⅠ桜花賞のマルセリーナ、いとこにGⅡ目黒記念(東京・芝2500m)のヒートオンビート、GⅢ京成杯(中山・芝2000m)勝ち馬のラストドラフトがいる。桜花賞は今回と同じ阪神・芝1600mということもあり、牝系からの距離適性も期待できそうだ。

 以上、今年の阪神ジュベナイルフィリーズは、ダイワメジャー産駒アスコリピチェーノ、ロゴタイプ産駒シカゴスティングの2頭に期待する。

プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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