ジャパンCはドゥラメンテ産駒に注目 エルコンドルパサーが勝った「25年前の再現」なるか (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki

 タイトルホルダーは血統的にもスタミナの裏付けが十分。母の父モティヴェイターは英ダービー馬で、凱旋門賞馬トレヴなどの父。その父モンジューも凱旋門賞のほか、英GⅠキングジョージ六世&クイーンエリザベスS、GⅠ愛ダービー、GⅠ仏ダービーなど2400mのGⅠを5勝している。

 さらにその父のサドラーズウェルズは、ガリレオなど欧州で大父系を形成した大種牡馬で、エルコンドルパサーの母の父でもある。タイトルホルダーの父系曽祖父がキングマンボなので、キングマンボ系×サドラーズウェルズ系というアウトラインは、25年前の勝ち馬エルコンドルパサーと同じなのだ。

 思えば、エルコンドルパサーが勝ったジャパンCの2着馬は、ドゥラメンテの祖母エアグルーヴだった。タイトルホルダーは、エルコンドルパサー+エアグルーヴとも言うべき血統構成の持ち主でもある。エルコンドルパサーは4角2番手から押し切る競馬で勝利したが、タイトルホルダーも同じような展開になりそうで、25年前の"再現"に期待する。

 当然、三冠牝馬リバティアイランド(牝3歳、栗東・中内田充正厩舎)も有力だ。過去の三冠牝馬は2012年のジェンティルドンナ、2018年のアーモンドアイが3歳時に勝利し、いずれも後に2勝目を飾っている。ジャパンCの42回の歴史でも、2勝以上しているのはこの2頭だけであり、三冠牝馬のジャパンC適性は非常に高いものがある。

 リバティアイランドは、母ヤンキーローズが豪州の2歳牝馬&3歳牝馬チャンピオン。1400mと2000mのGⅠの勝ち馬で、2400mには実績がないが、曽祖母の父エルグランセニョールは、昨年の勝ち馬ヴェラアズールも曽祖母の父に持っていた。

 また、エルグランセニョールはアーモンドアイの祖母ロッタレースの半兄でもある。前述のように、父ドゥラメンテはアーモンドアイの父ロードカナロアと同じくキングカメハメハ産駒。血統的共通点が多く、アーモンドアイ級の馬になっても不思議ではない存在だ。

 以上、今年のジャパンCは、ドゥラメンテ産駒の2頭、タイトルホルダーとリバティアイランドに注目する。

プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る