世界が注目のジャパンC リバティアイランドは「世界一」のイクイノックスに勝てるか (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo

 最後に挙げたいのは、距離適性だ。

 圧倒的な強さを見せた2000m戦から、今度は距離が2ハロン延びて2400m戦となる。この距離延長がイクイノックスのパフォーマンスにどう影響するのか。専門紙記者はこんな見解を示す。

「イクイノックスには折り合いの不安があります。昨年のGI有馬記念(1着。2022年12月25日/中山・芝2500m)でも引っかかっていましたし、前走の天皇賞・秋にしても、先行策に出て折り合っていたように見えますが、おそらくあれは行きたがっていたんでしょう。

 でも、逃げたジャックドールのペースが、自らが最下位に沈むほど速かったですからね。結果、イクイノックスにとっては、鞍上を務めるクリストフ・ルメール騎手の腕もあり、あのハイペースがハマった、という面がありました。

 そう考えると、2400mの距離が向かないとは言いませんが、距離が延びていい、ということはないでしょう。イクイノックスの距離適性は、本質的には2000mくらいがベストではないかと見ています。

 一方、リバティアイランドには折り合いの不安がほとんどありません。東京・芝2400mの適性が、どちらのほうが高いかは明白でしょう」

 このように、イクイノックスには少なくとも前走より、"心配すること"が増えたのは間違いないだろう。

 だからといって、「それゆえ、今年のジャパンCはリバティアイランドが勝つ」と結論づけるのは、早計というものだ。一般的な2頭の評価が、イクイノックスが7対3、あるいは6対4で上回るとされている状況にあって、それがようやく五分五分程度になったに過ぎない。

 そんななか、関西のとある競馬関係者からこんな声が聞かれた。

「この秋のリバティアイランドは、2012年のジェンティルドンナに似ています。ジェンティルドンナは、秋華賞で2着ヴィルシーナとハナ差の接戦を演じました。片やリバティアイランドも、最後にマスクトディーヴァに詰め寄られて、思ったほどの差がつきませんでした。

 しかしその後、ジェンティルドンナはジャパンCで、前年の三冠馬であり、当時"怪物"と称されるほどの強さを見せていたオルフェーヴル相手に、ハナ差ながらきっちり勝利。それを思えば、リバティアイランドも同様に"世界一"のイクイノックスを相手に、最後はきっちり勝ってくれるのではないでしょうか。その期待度はかなり高いです」

 海外からも注目されている今回のジャパンC。日本には"世界一"の馬に勝る若き牝馬がいることを、世界に見せつけてやろうではないか。

 がんばれ! リバティアイランド!

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