エリザベス女王杯は人気薄のロベルト系を狙う 破竹の勢いのドゥラメンテ産駒にも期待 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki

 父は昨年の2着馬ウインマリリンと同じスクリーンヒーロー。スクリーンヒーローの産駒は4歳以降にGⅠを6勝したモーリス、5歳暮れにGⅠ香港ヴァーズ(シャティン・芝2400m)でGⅠ初制覇を飾ったウインマリリン、6歳にして先日のGⅡスワンS(京都・芝1400m)を勝ったウイングレイテストなど、4歳以降に本格化する馬が多い。

 今回は骨折明けで8カ月ぶりという条件ではあるが、約1カ月前に帰厩後、順調に調教を重ねて好タイムを出しており、状態は悪くないようだ。母パールコードは2016年のこのレース4着、秋華賞2着などGⅠでも上位争いを見せていただけに、母の雪辱を果たす走りに期待する。

 もう1頭はゴールドエクリプス(牝4歳、栗東・大久保龍志厩舎)を挙げる。父ドゥラメンテの産駒は今秋も、リバティアイランドが「牝馬三冠」を達成、ドゥレッツァがGⅠ菊花賞(京都・芝3000m)を制覇、アイコンテーラーが地方交流GⅠJBCレディスクラシック(大井・ダート1800m)を勝利と破竹の勢い。ドゥラメンテの母アドマイヤグルーヴは2003、04年にこのレースを連覇した馬でもある。

 さらにゴールドエクリプスの母系を見ると、母の父ハービンジャーは2017年の勝ち馬モズカッチャンの父で、祖母の父マーベラスサンデーはエリザベス女王と同じ芝2200mのGⅠ宝塚記念(阪神)の勝ち馬。祖母の父サクラユタカオーは、芝2400mで行なわれていた1995年のエリザベス女王杯の勝ち馬サクラキャンドルの父で、2009年の勝ち馬クィーンスプマンテの母の父と、このレースに縁がある血統が並んでいる。

 エリザベス女王杯は、ドゥラメンテの父キングカメハメハ直系から勝ち馬は出ていないが、この母系とドゥラメンテの今の勢いと血統構成なら、そのジンクスを破ってくれそうだ。京都で3戦2勝というコース適性の高さもあり、期待できる。

 以上、今年のエリザベス女王杯はスクリーンヒーロー産駒アートハウス、ドゥラメンテ産駒ゴールドエクリプスの2頭に期待する。

プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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