スプリンターズSは人気薄の短距離血統2頭に注目 好ローテの4歳牝馬、GⅠ初出走の4歳牡馬に激走の気配 (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 函館スプリントSの勝ち馬では、2002年ビリーヴ、2011年カレンチャンの牝馬2頭がスプリンターズSを勝利。また、2011年9番人気で2着のパドトロワ、2012年9番人気で3着のドリームバレンチノ、2016年9番人気で3着のソルヴェイグなど、人気薄の激走も少なくない。

「前走キーンランドC→スプリンターズS」という流れで出走した馬では、昨年のウインマーベルが、キーンランドC2着から7番人気で2着に入っている。さらに2011年のカレンチャンは、函館スプリントS→キーンランドC→スプリンターズSと、今回のキミワクイーンと同じローテーションで3連勝している。勝利レースも前走も、このレースとは相性がいいパターンだ。

 もう1頭はマッドクール(牡4歳、栗東・池添学厩舎)に注目する。まだキャリア9戦と少ないが、この春は春雷Sでキミワクイーンを破り、GⅢシルクロードSではハナを切って1着ナムラクレア、2着ファストフォースという強豪相手にアタマ+クビ差の3着と好走。前走のGⅢCBC賞は9着と敗れたが、トップハンデの58.5kgが堪えたのだろう。リフレッシュしての1戦のため、見直しは可能だろう。

 父ダークエンジェルはアイルランドで供用されている種牡馬で、GⅠ4勝のバターシュ、英GⅠジュライCのリーサルフォース、ハリーエンジェルなど欧州で数々のトップスプリンターを出す種牡馬。日本では重賞勝ち馬を出していないが、JRAで14頭が出走して9頭が勝ち上がりという高い勝ち馬率を誇る。また、全24勝中14勝が芝1200mと芝短距離で存在感を示し、マッドクールの他にダークペイジ、シュバルツカイザーがオープンで活躍している。

 マッドクールは母も祖母も重賞勝ち馬で、おじロイヤルダイヤモンドがGⅠ愛セントレジャー勝ち馬と牝系も一流。初のGⅠ出走でもいきなり力を出せそうなポテンシャルを感じさせる。この馬もそれほど人気にはならなそうなだけに、激走に期待だ。

 以上、今年のスプリンターズSは、ロードカナロア産駒キミワクイーン、ダークエンジェル産駒マッドクールの2頭に注目したい。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る