本命不在の短距離戦線 スプリンターズSで人気のナムラクレアは真の女王になれるか (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 キーンランドC以降の状態面なども含めて、先述の専門紙記者はこう分析する。

「キーンランドCのあと、ナムラクレアは厩舎に戻って9月9日には早くも時計を出していました。それぐらいの間隔で時計が出せるというのは、いかに調子がいいか、という証拠。状態面に関しては、まったく問題ないと言っていいでしょう。スプリンターズSでも上位争いには間違いなく絡んでくると思います。

 ただこの馬自身、GI桜花賞(阪神・芝1600m)で3着になるなど、早くからGIでも結果を出していたように、もともと完成度の高かった馬。その点では、能力的にも、体力的にも、あまり大きな上積みは見込めません。自身の能力はきっちり発揮できても、上昇度で上回る"何か"にやられる、といったシーンは十分に考えられます」

 昨年のスプリンターズSがコンマ2秒差の5着。今年の高松宮記念がコンマ1秒差の2着。頂点には、一歩ずつ近づいているとも言えるが、そこにたどり着けない"壁"がある、と見ることもできる。

 はたして、ナムラクレアは"壁"を打ち破って、スプリント界の新たな女王となれるのか。激戦必至の電撃戦に注目である。

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