三国ボートで起こった負の連鎖 ツキに見放されたのは昼寝のせい!? (2ページ目)

  • 新山藍朗●取材・文 text&photo by Niiyama Airo

 迎えた第8レース。内側3艇の勝負と見て、1-2-3の3連単ボックスの舟券を買う。

 スタートして1マーク(第1ターンマーク)を回ると、なんと3-1-2の順番で走っているではないか!? 2周2マークを回っても、その隊列は変わらない。

 このレース、1番人気は最も腕がいいA1級の2号艇。これが頭なら大した配当にはならないが、ボックスで買った3艇のうち、3号艇は最も人気がない。さらに、1番人気の2号艇は3番手に甘んじている。

 このままいったら、かなりの配当がつくはず。そう思って、こっそり発走直前のオッズを見てみると、なんと72倍だ! 今晩はエビに、カニに......と、妄想が止まらなくなった。

 ところが、である。

 最終マーク付近で、2番手を走っていた1号艇と3番手の2号艇の差がわずかに迫った。そこで、チャンスと見た2号艇が1号艇を外から抜きにかかる。

 その瞬間、2号艇はターンミスして大きく外に膨れ、4番手を走っていた6号艇にも抜かれてしまう。終わってみれば、3-1-6の万舟券。今夜のエビも、カニも、幻と消えた......。

 これが、この日の不ヅキの始まり。

 第9レースでは、この選手だけはいらないと見た3号艇が3着入線。第10レースでは狙った5号艇がまったくの舟券外で大ハズレ。こうなるともう、負の連鎖は止まらない。

 続く第11レースもハズレた。最終の第12レースこそ当たったが、小銭程度のプラスでしかなかった。

 すべてのレースが終わって、ファンはボートレース場からただちに締め出される。だが、三国ボートはモーニング開催ゆえ、時間はまだ14時半にもなっていない。

 満たされない思いを抱えて外に出ると、駐車場の外に場外の舟券売り場があるではないか。ネット口座に残っていた3000円を元手に、浜名湖ボートのG2戦にチャレンジした。

 3レースやって3レースとも的中。三国ボートでの負けを取り返した。

 悪いツキを払拭。何より気持ちが晴れてよかった。

 意気揚々と宿に戻り、再び半額券を片手に温泉施設『セントピアあらわ』に行って、ゆっくりと汗を流す。その後は、近くの三国港で揚がった海のモノを食べさせてくれる居酒屋へ直行した。

地元でしか食べられないというガスエビ地元でしか食べられないというガスエビこの記事に関連する写真を見る 三国港直送のおこぜと、地元でしかなかなか食べられないというガスエビを肴に地酒をいただく。至福の時とは、こういう時を言うのだろう。

 トドメは、三国産のめぎすの天ぷら。これも、いけた。日本海の幸を堪能し、夢心地だった。

 私は、旅が好きで、温泉はもちろん好き。飲兵衛で、地酒に目がなく、その土地土地の旨いものにも目がない。加えて、ギャンブル好きだ。

 そんな私にとって、三国ボートを取り巻く環境は、望んでも望みきれないほど、すべてのものがそろっている。居酒屋をあとにして、宿までの帰り道にて、しみじみと思った。

「あぁ~、帰りたくない」

(つづく)

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