地方競馬のなかで「最高」とされる金沢競馬場の景観に酔いしれ、馬券はさっぱり... (2ページ目)

  • 新山藍朗●取材・文 tex&photo by Niiyama Airo

 同日のレーススケジュールは、第1レース発走が正午。最終の第12レースは18時30分発走。ナイター競馬ほど遅くはなく、薄暮競馬といったイメージか。

 競馬場に着いたのは、第3レースの少し前。とりあえず、場内を見て回り、1枚400円のお好み焼きを食べて腹ごしらえをした。

 競馬には、第4レースから参加。金沢駅行きの帰りのバスは、17時の便のあとは最終レース終了まで待たなければならない。さまざまなことを考慮した結果、17時の便に間に合う第8レースまでの5つのレースで勝負することにした。

 結論から言うと、第4、第5レースはハズレたが、その後の第6~第8レースは連続して当たった。初めての金沢競馬にしては上々の戦果だ......が、あまり自慢にはならない。

 第6レースは見事なトリガミ。第7、第8レースもギリギリ浮いた程度で、第4、第5レースの負け分を回収できず、まったく儲からなかったからだ。

 この日の収支は、およそ2000円のマイナス。おそらく、その理由はこうだ。

 金沢競馬は基本的に出走頭数が少なく(フルゲート12頭。この日の最多出走は11頭)、馬の能力もわりとはっきりしているから当てやすい。しかしその分、絞らなければ儲けにくいのだ。

この日は交流レースがあり、中央の今村聖奈騎手らが参戦していたこの日は交流レースがあり、中央の今村聖奈騎手らが参戦していたこの記事に関連する写真を見る そういえば、この日の第7レースは中央との交流レースで、中央から3歳の未勝利馬が6頭出走。それらに騎乗するため、今村聖奈騎手ら何人かの若手ジョッキーが訪れていた。

 その第7レースで勝ったのは、私の好きなドゥラメンテ産駒。当然、この馬から馬単馬券を購入し、見事に的中した。ところが、馬単よりも馬連のほうが配当がよかったのは、笑えない冗談のようだった。

 競馬場の正門を入って左手に、金沢競馬専門の予想紙を売るブースがある。私も入場してすぐ、一部500円の『競駿カナザワ』という予想紙を買った。いつもなのか、この日だけなのかはわからないが、この予想紙が実によく当たった。

 馬連に限らず、3連単まで第5レース~第8レースまで連続的中。そのなかには、万馬券が2本もあった。

「ああ~、予想紙の言うとおり買っとけばよかった」としみじみ思ったが、それこそ、あとの祭りである。

 思えば、山口瞳氏も金沢競馬を絶賛する理由のひとつに「競馬予想紙の充実」を挙げていた。でもそのことに気づいたのは、競馬を終えて、かなりの時間が経過してからだった。

金沢競馬で敗れたあと、市内の屋台村で海の幸を堪能し鬱憤を晴らした金沢競馬で敗れたあと、市内の屋台村で海の幸を堪能し鬱憤を晴らしたこの記事に関連する写真を見る その日の夕食は金沢市内の屋台村で、地元産のアジのなめろうとイカの刺身を肴にして、そこの店主の出身地だという輪島の地酒をいただいた。

 嫌なことを忘れるには、飲むに限る。明日はいいことがありますように――。

(つづく)

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