アイビスSDはまれに見る大混戦。「前哨戦」で大敗した逃げ・先行馬の巻き返しに要注意 (2ページ目)

  • 武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku
  • photo by Sankei Visual

 加えて、今回手綱をとるのは戸崎圭太騎手。ふだんから調教にも乗っているような主戦ジョッキーならまだしも、まったくのテン乗りですから、息の持ちなどが心配です。この馬の扱いについては、直前まで見極めが必要だと思います。

――過去の結果を見てみると、斤量58kg以上を背負った馬は一度も馬券に絡んだことがありません。重い斤量を背負った馬は不利なのでしょうか。

大西 僕が騎乗したカルストンライトオもアイビスSD3勝目を狙った2005年では、GIを勝ったあとだったこともあり、斤量59kgを背負って出走。それもあってか、いつものようなテンの行きっぷりがなく、他馬にスピード負けしてハナに立つことができず、4着に終わりました。

 これまで、アイビスSDで斤量58kg以上を背負って出走した馬は7頭いますが、いずれも逃げることができませんでした。やはり斤量が重くなると、最初のダッシュ力に大きな影響を与えるのは間違いありません。

――そうなると、58kgを背負うジャングロは斤量面においても厳しいかもしれませんね。代わって浮上するのは、好走例が多い「韋駄天S組」になるでしょうか。今年も同レース(5月21日/新潟・芝1000m)の出走馬が数多く参戦してきました。

大西 韋駄天Sが実質前哨戦扱いになっていますが、注意すべき点があります。同レースはスピード馬場ではない春開催の最終週に行なわれるので、時計がかかりやすいのが特徴です。実際に今年のレースも勝ちタイムは56秒5。時計がかかった分、最後は差し・追い込み馬が台頭しました。

 アイビスSDでの良馬場の平均タイムは54秒2。それに比べて、2秒以上も遅いタイムだったことを考えると、求められるものも大きく異なっていたと思われます。

 よって、当時の着順はあまり鵜呑みにはできません。そこを踏まえて、分析する必要があると思います。僕は当時のレースで差し・追い込みで上位にきた馬よりも、前で運んで最後に苦しくなった馬の巻き返しには注意すべきだと考えています。

――そういった面々のなかで、特に気になる馬はいますか。

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