宝塚記念の大本命イクイノックス 「初モノづくし」の同馬につけ入る隙は本当にないのか (3ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Kyodo News

 そしてもうひとつ、過去10年の宝塚記念において、ファン投票1位に2年連続で選出されながら、2年とも勝てなかった馬がいる。イクイノックスの父であるキタサンブラックだ。2016年が3着、翌2017年には9着と馬群に沈んでいる。

 注視したいのは、大敗を喫した2017年。この春、キタサンブラックはGI大阪杯、GI天皇賞・春と連勝し、まさに"敵なし"といった状況で宝塚記念を迎えた。

 当日の単勝オッズは、1.4倍。今回の"息子"イクイノックスと同じく、一強ムードの圧倒的な存在だった。

 ところが、不可解にも勝負どころの直線でズルズルと後退。結果、掲示板にも載らない惨敗である。レース後、主戦の武豊騎手は「(敗因は)よくわからない。こんなの初めて......」と首を傾げた。

 GIを立て続けに制して、競走馬として脂の乗った時期に迎える宝塚記念。そうした状況は、2017年のキタサンブラックと今回のイクイノックスは、よく似ている。キタサンブラックが陥った"不可解な敗戦"のDNAをイクイノックスが受け継いでいるとしたら、どうなるか......。

 そうは言っても、これら"重箱の隅"は勝敗の行方を占う本質とはかけ離れた、いわば枝葉末節程度のこと。裏を返せば、その程度のことに心配や不安のタネを探さなければいけないほど、今回のイクイノックスは盤石ということだろう。

 現実的に考えれば、宝塚記念はイクイノックスの相手探し――そう割りきるほうが賢明かもしれない。

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