異様な熱気に包まれる日本ダービーでは、冷静な騎乗で愛馬をエスコートできるジョッキーに着目せよ (2ページ目)

  • 武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

大西(ダービーにおいて)テン乗りで勝てないのは、このレースは人馬の信頼感が最も大切だからだと思います。

 ダービーは、今まで人馬がどんな経験を積んできたのかが問われ、(レースでは)その対応力が試されます。人馬の信頼関係が強ければ、想定外の展開や位置取りになった時にも慌てずに対応することができますからね。その点、テン乗りだと馬との呼吸が合わずに力を発揮できないことがあります。

 ただ、気楽に乗れる立場の馬に上位騎手が乗り替わった場合は、マイナスではなく、プラスの面があるかもしれません。今回のタスティエーラとファントムシーフは受けて立つ立場ではなく、皐月賞馬を負かしに動ける立場なので、上位騎手への乗り替わりは好意的に受け取れます。

 レーン騎手はかつて、2019年のダービーで皐月賞馬のサートゥルナーリア(1番人気4着)に騎乗して苦い経験を味わいました。それを経て、今回はもっと冷静に騎乗できるのではないでしょうか。

 武豊騎手に関しては、何と言っても前人未踏の"ダービー6勝"ジョッキー。その実績からして、不安のほうが少ないです。

 この2人の乗り替わりについては、ともに大きなプレッシャーを受けることはなさそう。逆に、相手を負かすことに集中できるのは強みになると思います。

――もう1頭、人気が予想される馬がいます。クリストフ・ルメール騎手が騎乗するスキルヴィング(牡3歳)です。トライアルのGII青葉賞(4月29日/東京・芝2400m)を快勝してきた同馬については、どう見ていますか。

大西 今年のダービー出走馬でデビューからずっと同じ騎手が乗り続けているのは、そのスキルヴィングと、松山弘平騎手騎乗のハーツコンチェルト(牡3歳)だけ。人馬の信頼関係という点で、他の馬より上をいきます。

 とりわけスキルヴィングは、これまでの4戦すべてが東京コース。しかも、直近2戦はダービーと同じ芝2400mを経験してきています。脚の使いどころや使える脚の長さなど、鞍上のルメール騎手はすべて把握しているはず。今回も間違いなく、自信を持って乗ってくると思います。

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