ヴィクトリアマイルで激突するソダシとスターズオンアース「現役最強牝馬」はどっちだ? (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 確かに、スターズオンアースの前走の末脚は圧巻だった。牡馬混合のGIで、あれだけの競馬ができる牝馬はそうそういない。おそらく今回のヴィクトリアマイルでも、同馬が1番人気に推されるだろう。

 ただし、前出の専門紙記者は「ポテンシャルは抜けている」と評しながら、ここでは「取りこぼす可能性がある」という。というのもここ2戦、昨秋のGI秋華賞(10月16日/阪神・芝2000m)と大阪杯と、強い競馬を見せていながら3着、2着と、勝てていないのもまた事実だからだ。

 同専門紙記者はその敗因を、この馬が抱えている弱点にある、と見ている。

「スタートが致命的に下手なんです。ゲートが開くと、いつも遅れ気味に出て、少しヨレる。だから、いい位置が取れず、決まって最後方からの競馬になる。そこから、最後の最後で脚を使うので、どうしても取りこぼしが多くなって勝ちきれない。今回も、そうなる可能性は十分にあり得ます」

 ましてや、前2走はいずれも2000m戦で、今回はそこから400m距離が短縮されてマイル戦となる。スタートの悪さは前2走以上に、致命的なものになってしまう。

 それゆえ、スターズオンアースの評価は競馬関係者のなかでも割れている。直線の長い府中コースが「それ(出遅れ)をカバーしてくれる」と読む人がいれば、マイルという距離自体が「この馬にとっては、適距離より短い」と見ている人がいる。

 いずれにしても、東京の芝マイル戦は2戦して2度とも勝てていない(3着、2着)。

 その事実を重要視すれば、ソダシの逆転の目も見えてくる。

 先にも触れたとおり、東京の芝マイル戦は2戦2勝。彼女が最も得意とする舞台であることを考えれば、逆転への期待はより一層高まる。さらに今回は、鞍上が名手ダミアン・レーン騎手に替わる点も強調材料となる。

 先の専門紙記者もこう語る。

「昨年のヴィクトリアマイルのようなレースができれば、ソダシにも勝つチャンスは出てくると思います」

 昨年のヴィクトリアマイルは、前半2ハロン目で10秒台をマークしたあと、3ハロン目からは11秒台のラップが最後まで刻まれた。そのよどみのない流れのなか、ソダシは道中4番手を追走。直線半ばで先頭に立つと、上がり33秒4の脚を使ってそのまま押しきった。

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