NHKマイルCは1600mに強い「エピファネイア産駒の牝馬」が狙い もう1頭は「母系にアンブライドルド」の血を持つ名門牝系

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 5月7日(日)、東京競馬場で3歳馬によるGⅠNHKマイルC(芝1600m)が行なわれる。

 今年は、昨年の最優秀2歳牡馬ドルチェモア、前走GⅢアーリントンCなど重賞2勝のオオバンブルマイ、GⅢファルコンSのタマモブラックタイ、GⅡフィリーズレビューのシングザットソング、GⅡデイリー杯2歳Sのオールパルフェ、GⅡニュージーランドTのエエヤンといった重賞勝ち馬6頭に加え、GⅠ朝日杯フューチュリティS2着のダノンタッチダウンなど、多くの実績馬がスタンバイ。それでいて圧倒的な存在はおらず混戦模様で、馬券は難しいが予想しがいがあるレースとなっている。

 このレースを血統的視点から分析してみよう。28回目を迎えるこのレースで、最も優秀な成績を残しているのがダイワメジャー産駒だ。2012年カレンブラックヒル、2016年メジャーエンブレム、2019年アドマイヤマーズと、3頭の勝ち馬が出ている。2着馬と3着馬も2頭おり、勝率16.7%、複勝率38.9%という高い数字が残っている。

 今回は直仔こそいないが、母の父にこの血を持つのがモリアーナ(牝3歳、美浦・武藤善則厩舎)だ。

昨年6月、芝1600mの新馬戦で勝利したモリアーナ昨年6月、芝1600mの新馬戦で勝利したモリアーナこの記事に関連する写真を見る 同馬は、エフフォーリアやデアリングタクトなどを出したエピファネイア産駒。エピファネイア産駒はJRAの勝利距離の平均が1791m(4月30日現在)と長めで、芝の中距離以上に強いイメージだが、牡馬の最多勝利距離が2000mの41勝に対し、牝馬は1600mで44勝。牝馬は短めの距離にシフトしている。

 1600mの重賞勝ちも、GⅠ桜花賞のデアリングタクト、GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズとGⅢアルテミスSを勝ったサークルオブライフとすべて牝馬。一方で牡馬は、重賞はおろかオープン勝ちさえない。エピファネイアに限らず、牡馬と牝馬で大きく傾向が異なる種牡馬が多いため、性別によって柔軟に考え方を変えることは大切だ。

 モリアーナ自身、この東京・芝1600mでは今年2月のGⅢクイーンCに出走し、勝ち馬ハーパー(GⅠ桜花賞4着)とタイム差なし、クビ+ハナ差の3着と好走。新馬戦では上がり3F33秒0の瞬発力で3馬身差の圧勝を見せており、コース適性は高い。

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