天皇賞・春でナリタブライアンと伝説の名勝負 「ウマ娘」で描かれるサクラローレルはどれほどの名馬だったのか (3ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Kyodo News

 連覇を狙ったサクラローレルは、レース中盤で早くも動き出し、先頭の直後につける展開に。マーベラスサンデーはそのうしろをマークし、マヤノトップガンは1頭後方で息をひそめた。

 そして直線、昨年に負けず劣らずの大歓声が沸くなか、サクラローレルとマーベラスサンデーが先頭に立つ。一瞬マーベラスサンデーが抜け出そうとするが、サクラローレルも二枚腰を発揮。ライバルを競り落とすようにもう一度先頭を奪う。

 しかし、その外を破格の勢いで飛んできた馬がいた。栗毛のマヤノトップガンだ。ゴール前、ピッタリと測ったかのように2頭のライバルを交わしたのだった。

 このレースも平成屈指の名勝負と言える。勝ったマヤノトップガンはもちろん、2着のサクラローレル、3着のマーベラスサンデーいずれもすばらしい走りを見せた一戦だった。

 このあと、サクラローレルは夢だった凱旋門賞への挑戦を表明。しかし、その前哨戦で大きなケガを発症してしまい、無念の引退となった。夢の舞台には立てなかったが、この馬の強さなら、そしてこの血統なら、世界でも通用したかもしれないと思う。特にナリタブライアンを下した天皇賞・春の強さは忘れられない。

 それから30年弱。今年の天皇賞・春は新装された京都競馬場で行なわれる。あのときのように、またこの舞台で名勝負が生まれるのか。長く語り継がれるレースになることを期待したい。

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