1番人気が苦戦する桜花賞は穴党好みの一戦 人気の盲点となる重賞勝ち馬2頭の激走に要注意 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Eiichi Yamane/AFLO

 そうした状況にあって、今回は陣営も対策を講じてきました。札幌2歳Sで見せた末脚は確かですから、そのうえでマイルの速い流れに対応するべく、これまでのCウッド主体で長めから乗っていた調教を、坂路主体へと変更。スピード特化の調教に取り組んできました。

 さらに、これまではモタれるクセがあって、強制力の強いハミを着けていましたが、ノーマルなものに変更。操作性のアップも図ってきました。

 そういった対策の効果は目に見えて表れており、同馬を担当する高橋康之厩舎の原口敬士助手は次のように話しています。

『1週前の追い切りも、坂路であそこまでの時計(51秒2-12秒1)が出るとは思っていませんでした。トモが強化されているんだと思いますね。ハミに関しても、問題ありません。最近はモタれる面がないですし、引っかかりもしないですから。

 雰囲気も落ち着いていますよ。新馬戦で負けたあともいい競馬をしましたし、1回レースを使ったほうがいいのは間違いありません。前走で追走に苦労していたのは、休み明けの影響もあったかもしれません』

 マイル対策への確かな手応えを得ている陣営。スタートを決めて、道中もスムーズに流れに乗ることができれば、巻き返しは十分に可能と見ています」

 奥田記者が注目しているもう1頭は、エミュー(牝3歳)だ。

「昨秋のデビューから6戦目となる前走、GIIIフラワーC(3月18日/中山・芝1800m)で重賞制覇。不良馬場のタフな一戦でしたが、410kg台の小柄な馬体を目いっぱい使って、鋭い末脚を披露しました。

 同馬のセールスポイントについて、『気持ちの強さと前向きさ、そしてバネがあります』と言うのは、管理する和田正一郎調教師。前走から中2週のタイトなローテーションになりますが、フラワーC後に前田(幸治)オーナーが『この内容なら(桜花賞でも)勝負になる』と言ったその言葉で桜花賞参戦が決まった、という内情も明かして勝負気配を漂わせています。

 また、今回は連戦を考慮して、陣営は美浦から阪神への直前輸送ではなく、早くからの栗東滞在を選択。過去にはこのパターンで、関東馬のアパパネやアユサンが桜花賞を制しており、和田調教師も『デメリットよりも、メリットを大きくできると考えました』と話しています。

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