安藤勝己が選定した「3歳牝馬番付」桜花賞、オークスの勝ち馬が見えてくる (2ページ目)

  • 新山藍朗●取材・構成 text by Niiyama Airo

大関:シングザットソング(牝3歳)
(父ドゥラメンテ/戦績:4戦2勝、3着1回、着外1回)

 ゲートはうまくないし、レースぶりも荒っぽくて、後方一気の競馬しかできない。にもかかわらず、最後は常に上がり33秒台のメンバー最速の脚を使って伸びてくる。そのレースぶりを目の当たりにしてきて、前々からこの馬の素質は「かなりのものがある」と見ていた。

 そのため、前走のGIIフィリーズレビュー(3月12日/阪神・芝1400m)では、レース前にこの馬をゲキ推しした。そして実際、期待どおりの勝利を収めてくれた。

 ただ同レースでは、想定とは違う競馬を見せた。後方一気ばかりだった馬が、前方5~6番手の好位につけてレースを運んだ。それがどう出るかと思ったが、道中きちんと折り合って、結果も出した。課題のゲートもしっかりと出て、ここにきて、陣営が教え込んできたことが少しずつ身になっているのだろう。

 フィリーズレビューは本番の桜花賞に結びつかないことが多いけれども、今年勝ったこの馬は、過去に上位にきた馬たちとは少し違う。少なくとも1400mまでの馬ではない。距離が延びたほうが、もっとよさが出るはずだ。

 気性的にアテにならないところもあるが、一方でパンッと仕上がれば......という期待もある。横綱リバティアイランドを脅かすとすれば、こういう"やんちゃ"なタイプではないかと思う。


関脇:ライトクオンタム(牝3歳)
(父ディープインパクト/戦績:2戦2勝)

 キャリアはわずか2戦。今のところ、馬自体は未完成と言えるが、2戦目に牡馬相手の重賞を使ってきたことを思えば、それだけ陣営がこの馬の素質を高く評価しているということ。しかもそのレース、GIIIシンザン記念(1月8日/中京・芝1600m)を快勝した。直線、外から牡馬勢を一蹴したレースぶりは見応えがあった。

 そうは言っても、そこで下した牡馬勢はそこまで強いメンバーではなかった。その一戦だけで、評価しすぎるのはどうかと思う。

 それに、この馬は420kg台と小柄。小さい馬というのは、思ったように調教ができないという弱点がある。それゆえ、レースの数を使うことなく、桜花賞に直行するのではないか。本番に向けては、この間、どこまで成長しているかが課題となる。

 ともあれ、馬体に幅が出てくれば、もっと強くなる馬。未完成な分、未知の魅力がある。そうした将来性込みで、この馬を三番手としたい。

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