堤礼実アナが語る希代のトップジョッキーの引退「私の競馬人生は福永祐一騎手なくして語れない」 (2ページ目)

  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

 思えば、私が日本ダービーというレースの意味を理解したうえで、初めてダービーを生観戦したのが、2018年。そう、福永騎手がワグネリアンで初めてダービーを勝った時のレースだったのです。

 福永騎手はその後、2020年にコントレイルで三冠を成し遂げ、2021年にはシャフリヤールでダービー連覇を達成。私が競馬番組を担当する以前から、福永騎手がトップジョッキーだったことは言うまでもありませんが、さらにもう一段上のレベルへと駆け上がっていく姿を競馬番組のMCという立場で目の当たりにさせてもらったことは、アナウンサーという職に就く私にとって大きな財産となっています。

 私の"競馬人生"は、福永騎手なくしては語れません。

 ですから、福永騎手の引退は私にとって感慨深い......と言ってしまうと、一方的で失礼な言い方にはなるのですが、振り返ってみるとさまざまな記憶が蘇ります。

『みんなのKEIBA』のなかでも、福永騎手の引退に際しては、過去のいろんな映像が流されました。キングヘイローで初めて挑んだダービーでは、2番人気に推されながら14着と大敗。福永騎手のダービーへの挑戦は屈辱的な経験から始まり、「もうダービーは勝てないのではないか」と心が折れかかったこともあったと聞きます。

 私は福永騎手がトップにいる姿しか見ていませんが、これだけのことを成し遂げた人でもそれまでにはたくさんの挫折や失敗があり、そこからいろんなことを吸収して今がある。そんなことに、改めて思いを馳せる機会にもなりました。

 私が競馬番組を担当するなかでは、多くの騎手が活躍する姿を目にしてきました。それぞれが印象深い記憶です。とはいえ、最も印象に残る騎手をひとりだけ挙げるとするなら......私の場合、やはり福永騎手になるのかもしれません。

 コロナの影響もあって、私が直接厩舎を訪れて取材をすることはほとんどなくなってしまいましたが、そのなかで数少ない、実際に会って取材できた馬がコントレイル。彼に騎乗していたのが福永騎手ということにも、勝手に縁を感じています。

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