「2強」が有力視されるフェブラリーS。過去2年よりレベルが落ちるメンバー構成なら、当時人気を背負った古豪にも出番あり (3ページ目)

  • 武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku
  • photo by Kyodo News

 あと、波乱の可能性があるとしたら、展開によって、でしょうか。絶対的な本命馬が不在で、どの馬にもチャンスがあるというレースでは、乗り役はいつも以上に色気を持って臨みます。そういう時は、早め早めの流れになることがしばしば。

 そんなふうに極端な展開になった際には、思わぬ波乱が起きるかもしれません。まして、今年は人気馬が前でレースを進めるので、差しタイプの穴馬には要注意です。

3年連続のフェブラリーS参戦となるレッドルゼル3年連続のフェブラリーS参戦となるレッドルゼルこの記事に関連する写真を見る――そういった差しタイプの穴馬で、大西さんが気になる存在はいますか。

大西 レッドルゼル(牡7歳)ですね。理由はいくつかあります。まず、今年で3年連続の出走となりますが、過去2年(2021年=4着、2022年=6着)のレース内容はいずれも決して悪くありませんでした。

 昨年は1番人気に応えられませんでしたが、当時は馬場が軽すぎて前が止まらなかったのが敗因です。時計がかかる良馬場だったら、直線で先行馬の脚が鈍っていたと思うので、レッドルゼルがいた3列目の馬たちがもっと伸びていたはず。「勝てた」とまでは言いませんが、2~3着はあったと思います。

 また、年齢を重ねると、たいていの馬はズブくなりがちですが、同馬もそうです。近走はスプリント戦が中心ですが、その反応を見ていると、「むしろマイルくらいの距離のほうがいいのでは?」と感じることがあります。つまり、今回の距離延長もマイナスには考えていません。

 そして、この中間の調教の変化。これまでほとんど坂路追いばかりだったのが、ウッドコースでの追い切りを何本も取り入れて調整しています。もちろんこれは、距離延長に対応するためのスタミナ強化を狙ってのものだと思いますが、ここに懸ける陣営の意図ははっきりと伝わってきています。

 同馬は常に上位人気となる馬でしたが、今回は1、2を争うような人気にはならないでしょう。鞍上の川田将雅騎手としても、気楽な立場で一発を狙ってこれるのではないでしょうか。過去2年と比べると、相手関係もラクになるので、3度目の正直で馬券圏内に入ってきてもおかしくないと踏んでいます。

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