「2強」が有力視されるフェブラリーS。過去2年よりレベルが落ちるメンバー構成なら、当時人気を背負った古豪にも出番あり (2ページ目)

  • 武藤大作●取材・構成 text by Mutoh Daisaku
  • photo by Kyodo News

 ドライスタウトも"表舞台"の重賞には参戦していませんが、2歳時には地方交流GIを制覇。秘めるポテンシャルは相当高いと見ています。追い出されてからのフォームが特徴的で、前肢も後肢もよく伸びて完歩がとても大きいですよね。レモンポップの主戦でもある戸崎圭太騎手がこちらに騎乗するということが、すべてを物語っているのではないでしょうか。

――「2強」に異論ナシということですが、あえて不安材料を挙げるとすれば、何かありますか。

大西 レモンポップは「1400mがベストで、マイルは距離が少し長い」という見方がありますが、僕は乗り方ひとつでこなせると思っています。この馬は、毎回スッと好位に取りついて直線半ばで先頭に立つ、という競馬を披露。そのレースぶりは、まるでリプレイを見ているかのようで、すべてが同じレースかと錯覚するほどです。

 ただそれは、1400m戦を勝つための最適な乗り方だから、そうしているだけでしょう。マイル戦となれば、ポジションをもう1列うしろで構え、追い出しをいつもよりワンテンポ遅らせれば、1ハロンの距離延長もこなせるはずです。

 今回は、坂井瑠星騎手へと乗り替わりになりますが、先入観を持っていない騎手へのスイッチが(距離延長で)プラスに働くような気がします。でも逆に、前任者の乗り方を踏襲することに意識が強くなって、早く仕掛けてしまった時は不安があります。

 一方のドライスタウトについても、欠点は少ないと思います。不安があるとすれば、単純に相手関係だけです。2歳時に地方交流GIの全日本2歳優駿(川崎・ダート1600m)を勝っているとはいえ、戦ってきた相手を見ると、ものすごいメンバーを負かしてきたわけではありませんからね。

 古馬GI級と対戦するのは、今回が初めて。それらとの力関係で上回れるかどうか。要するに、答えが出る前に期待が先行しすぎている、という点が不安材料になるのかもしれません。

――「2強」が有力なのは間違いなさそうですが、波乱になる可能性も少しはあるのでしょうか。また、「2強」に割って入るような存在はいるのでしょうか。

大西 可能性で言えば、ゼロではありません。とりわけ初参戦となる海外馬、シャールズスパイト(牡6歳)は未知の存在。芝のマイルGIメーカーズマークマイルS(アメリカ・芝1600m)の覇者ですから、スピード性能が高いことは証明されています。

 そうなると、比較材料がまったくないなか、東京・ダート1600mの適性が高かった、というシーンは捨てきれません。特に当日の馬場が渋った際には、警戒の度合いを上げたいですね。

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