シンザン記念は出走馬わずか7頭ながら波乱含み。末脚秘める伏兵が好配当の使者となる

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Sankei Visual

 3日間の変則開催となる今週、1月8日には3歳馬の重賞、GIIIシンザン記念(中京・芝1600m)が行なわれる。

 かつては、その後のGIとのつながりが薄いレースと言われていたが、ここ最近は同レースの勝ち馬が以降のGI戦線でも躍動。2014年のミッキーアイルをはじめ、2018年のアーモンドアイ、2021年のピクシーナイトらがGI馬になるなどして、出世レースのひとつになりつつある。

 昨年の勝ち馬マテンロウオリオンも、のちにGI NHKマイルCで2着と好走。同レースへの注目度が増していることは間違いない。

 ただし、レース自体は波乱の多い一戦と言える。事実、過去10年の結果を振り返ってみても、1番人気は3勝、3着1回と、信頼度は今ひとつ。反対に8番人気以下の伏兵の台頭が目立ち、3連単では10万円を超える高配当が5回も出ている。

 はたして、今年はどうか。

 出走馬はわずか7頭だが、すべて1勝馬で、重賞やオープンクラスのレースで連対実績のある馬は1頭もいない。ミッキーアイルやアーモンドアイといった突出した存在も見当たらず、"荒れる"可能性は大いにある。

 現に日刊スポーツの太田尚樹記者も、「今年は2006年以来、17年ぶりにひと桁の出走頭数となりました。7頭立てとなると、グレード制が導入された1984年以降では最少です。しかも、全馬が1勝クラスですから、もはや事実上の"条件戦"と言ってもいいでしょう」と言って、波乱ムードを匂わす。

「未対戦の組み合わせが多くて能力比較も難しく、思わぬ好配当も期待できるのではないでしょうか。何はともあれ、社杯となる『日刊スポーツ賞』なので、外せないレースです」

 そこで太田記者は、少頭数ゆえに厳選した1頭を穴馬候補に挙げる。

「気になるのは、サンライズピース(牡3歳)です。5着に敗れた前走の1勝クラス・万両賞(12月24日/阪神・芝1400m)は、ゲートで後手に回ったのが痛恨でした。

 1~4着馬は、道中好位で運んで4コーナーでも1~4番手にいた馬ばかり。典型的な前残りの競馬に泣かされました。

 それでも、サンライズピースは34秒1というメンバー最速の上がりをマークして、勝ち馬にコンマ2秒差まで詰め寄ったことは評価できます。実際、ゴール前の脚勢は際立っていました」

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