有馬記念で0勝の血統的ジンクスを「現役最強馬」が打ち破るか、レースと相性がいい5歳牝馬が上回るか (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki
  • photo by Sankei Visual

 同馬は昨年のGⅠ菊花賞(芝3000m)の勝ち馬。昨年のGⅠ有馬記念は5着に敗れたが、今年はGⅠ天皇賞・春(芝3200m)、GⅠ宝塚記念(芝2200m)を勝ち、「現役最強馬」と呼ばれる存在になった。

 今年の勝利で注目したいのが天皇賞・春。実は同レースもミスタープロスペクター系の勝利がなかったのだが、83回目の歴史で初めての勝利となった。しかも、それまでの天皇賞・春におけるミスタープロスペクター系の成績は、2着2回、3着1回と、有馬記念よりも酷いものだった。そんな血統的傾向があるレースで、タイトルホルダーは7馬身差の圧勝を見せたのだ。

 それ以外にも、タイトルホルダーは父ドゥラメンテとのイメージとかけ離れていることが多い。強烈な差し脚を武器にする父に対し、息子は逃げを得意とする。また、GⅠ皐月賞、GⅠ日本ダービーを勝った父に対し、父が故障で出走できなかった菊花賞を勝利し、父が故障で2着に敗れた宝塚記念を勝利した。タイトルホルダーは数々の血統的ジンクスを打ち破ってきた、いわば"ジンクスブレイカー"なのだ。

 昨年の5着もわずか0秒5差で、パンサラッサが作り出したハイペースに巻き込まれた影響が大きかったのに加え、鞍上の横山和生騎手も初騎乗だった。今回、パンサラッサはおらず、自身も騎手も大きく成長しているため、自信を持って臨めるはずだ。ここを勝って今年のGⅠを3勝とし、年度代表馬のタイトルを確定させたいところだ。

 もう1頭は人気薄になりそうなウインマイティー(牝5歳、栗東・五十嵐忠男厩舎)に期待する。今年のGⅢマーメイドS(阪神・芝2000m)勝ち馬で、前走のGⅠエリザベス女王杯は16着と敗れたが、2走前のGⅡ京都大賞典では3着に好走している。

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