ウマ娘も競走馬も「かわいい」カレンチャン。類い稀なスピードでロードカナロアと名勝負を繰り広げた (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Kyodo News

 この年、世界的に名を馳せていたシンガポールの快速馬ロケットマンが参戦。単勝オッズも圧倒的な1番人気となっていた。カレンチャンは、勢いこそ認めるものの、今回が初のGⅠ挑戦。3番人気にとどまった。

 しかし、レースではカレンチャンが隙のない強さを見せる。まずまずのスタートから中団につけ、先行するロケットマンを見るような形。そして3~4コーナーでは、手応え十分の雰囲気で外目をじわっと上がっていく。

 迎えた直線。外から一気にロケットマンに並びかけると、すかさずライバルも進路を確保しようと内からカレンチャンに馬体を合わせる。それでも威圧にもひるまず加速。軽やかに抜け出すとそのままゴールへ飛び込んだ。

 スプリント戦では"決定的"と言える、2着に1馬身4分の3の着差をつけて快勝。最終的には4着に沈んだロケットマンを尻目に、みずからの速さを見せつけた。

 さらにその後は、「スプリント王国」と言われる香港に遠征し、GⅠ香港スプリントに挑戦。敗れたものの5着と善戦し、改めてこの馬の強さをファンに印象付けたのである。

 翌5歳になってもカレンチャンは輝きを放ち続けた。春のスプリント王を決めるGⅠ高松宮記念に出走すると、今回はスプリンターズSとは異なり2番手を追走。早めの競馬を展開していった。

 ちなみにこのレースは、GⅠの勲章を引っ提げて挑んだカレンチャンだったが、当日は2番人気に甘んじた。理由として、香港後に出走した今回の前哨戦で4着に敗れたこともあるが、もうひとつ、強力なライバルが現れたことが大きかっただろう。

 それが1番人気のロードカナロア。こちらもかつてのカレンチャンのように、重賞を含む5連勝でここまできていたのだ。

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