エプソムCは絶対的本命不在。梅雨の荒れ馬場にも対応できる実績馬2頭が混戦を断つ

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • photo by Sankei Visual

 5週連続のGI開催が終了した今週の東京競馬場では、GIIIエプソムC(6月12日/東京・芝1800m)が行なわれる。

 同レースは"荒れる重賞"のひとつとして知られる一戦。一昨年には3連単で421万9320円という高額配当が飛び出し、昨年も1番人気が馬券圏外に沈んで3連単では8万円超えの好配当をつけた。

 そして今年も、波乱ムードが充満している。出走12頭と少頭数の争いとなったが、力差のないメンバー構成で思わぬ伏兵の台頭が十分に考えられるからだ。現にスポーツ報知の坂本達洋記者も「本命なき戦い」と見て、こんな見解を示す。

「重賞勝ちのある実績馬が主力を形成しつつも、前走でオープン入りを決めた勢いのある上がり馬が3頭参戦。各馬の状態を含めて、力関係の比較については悩ましいところです。

 そんななか、今年に入ってからの近2走で2着、3着と好走しているダーリントンホール(牡5歳)が人気を集めそうですが、復調気配を見せているその2戦はともにマイル戦。3歳時のGIII共同通信杯(東京・芝1800m)を最後に勝ち星から遠ざかっていることを踏まえても、そこまで力が抜けているとは思えません。

 昨年の覇者ザダル(牡6歳)にしても、大敗した前走のGIIIダービー卿チャレンジトロフィー(10着。4月2日/中山・芝1600m)がハンデ58kgや、直線で馬場の悪い内を突いたことが敗因とされ、巻き返しを期待する声も多いですが、別定戦の今回も斤量は58kg。絶対視はできません。

 また、条件クラスを連勝してきたジャスティンカフェ(牡4歳)も注目されていますが、古馬での重賞挑戦は初。斤量も56kgとなれば、ラクではありません。つまり、不安要素が少ない抜けた存在はいない、ということです」

 そうした状況にあって、坂本記者は「レースの行方は展開面と馬場状態がカギ」と言ってこう続ける。

「今年のメンバーを見ると、ハナを主張しそうなのは、前走の3勝クラス・アメジストS(2月20日/東京・芝2000m)で逃げきり勝ちを決めたノースブリッジ(牡4歳)と、積極策でこそ持ち味が生きるトーラスジェミニ(牡6歳)。この2頭の先手争いになると思うのですが、ノースブリッジは番手で控える競馬でも問題ないので、すんなりと隊列は決まるのではないでしょうか。

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