「5億越え」も出たセレクトセール。新世代の種牡馬たちは明暗くっきり (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu

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 1歳市場のディープインパクト産駒は、これが最後のセリ市上場となる可能性が高い一方で、牡馬に関してはすでに後継も多く、「種牡馬としての価値は以前ほど期待できないのでは」という懸念もあった。しかし蓋をあけてみれば、上場13頭中9頭が億越え。中でも、上場番号56番の「フォエヴァーダーリングの2019」が、1歳市場最高額となる4億円で落札されたかと思えば、114番の「シーヴの2019」が5億1000万円でさらに記録を更新した。

 キングカメハメハ産駒も1歳市場に10頭が上場して、うち2頭が1億越えで落札されたが、2日間で計31頭が上場したハーツクライ産駒は、7頭が億超えの落札となって市場を賑わせた。JRAの種牡馬ランキングでは常に2位~4位を堅持していたが、昨年だけでスワーヴリチャード、リスグラシュー、サリオスがGIを勝利し、さらに評価が高まったといえるだろう。ハーツクライ自身は、キングカメハメハと同世代の19歳。種牡馬としてはすでにベテランの域だが、晩年でいよいよ天下を取れるか。

 いわゆる"ネクストジェネレーション"の組で意外だったのは、2日間で36頭が上場されたロードカナロア産駒の億超えが、当歳の2頭だけだったことだ。

 アーモンドアイ、サートゥルナーリアと2世代続けて超大物を輩出。さらに、キングオブコージがGII目黒記念(東京/芝2500m)を、バーナードループがダート交流重賞の兵庫チャンピオンシップ(園田/ダート1870m)を勝利するなど、現役時代のイメージよりも幅広い適性を見せつつあるだけに、もっと爆発的な評価がつくものだと予想していた。

 ただ、あるJRAの調教師によると、「基礎能力は高いし気性もいいので、3歳までは距離も持つけど、基本的にはマイル以下。古馬になってくると、体型的にも短距離色が強くなってくるように見える」と、価格が抑えられた理由を推察した。

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