「皐月賞はボクがへたくそ」デムーロのリオンディーズがダービーで復権

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu  村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

「あの日は朝から芝は先行馬が残っていました。それと中山2000mの外枠なので、ずっと外を回されるよりは、ある程度は前につけたほうがいいと考えました。ただ、あんなにペースが速いとは思わなかったんです。1コーナーまで、追い風が強かったでしょう? だから、スピードが上がっても(追い風と相殺されて)あそこまで速いとは感じられませんでした。あとからレースのビデオを見て、自分でも『うわ、速いよ。バカ!』と思ってしまいました(苦笑)。でも、決してあの馬は引っ掛かったわけじゃないんです」

 半兄で菊花賞、ジャパンカップを制するエピファネイアもそうであったように、リオンディーズは能力に比例するかのような激しすぎるその気性が課題とも見られていた。しかし、デムーロはその点については首を横に振る。

「確かにデビュー戦はすごく引っ掛かってましたね。騎乗した岩田騎手も大変そうでした。でも、デビュー戦や休み明けのフレッシュなレースではよくあることです。朝日杯フューチュリティーS(1着。2015年12月20日/阪神・芝1600m)はまったくそんなことはありませんでした。休み明けの弥生賞(2着。3月6日/中山・芝2000m)は少し力むところがありました。

 リオンディーズがよく誤解されるのは、あの馬はフットワークが大きく、さらにパワーがあるからなんです。他の馬よりも完歩が大きいので、同じようなペースで乗っているつもりでも、それだけ推進してしまう。しかもパワーがあるので、それを制御しようとするのに、見た目には折り合いを欠いているように見えるんです。単に引っ掛かっていただけだったなら、皐月賞ももっとバッタリと止まっているはずです」

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