有力馬に不安あり。ゴールドアクターが有馬記念で波乱を起こす (2ページ目)

 しかし、その当時のパフォーマンスは、並みの牝馬のモノではありませんでした。過去に「女傑」と言われた名馬たちに並ぶレベルにあったと思います。また、前走エリザベス女王杯は、1番人気ヌーヴォレコルトをマークして進んだことが、かえってあだになった感じのレースでした。負けたとはいえ、いかにも"次"を見据えた走りのようにも見えました。

 そもそも、凱旋門賞挑戦も考えられていた実力馬。ビッグタイトルは手にしていませんが、上位2頭とも素質的には遜色ないと思っています。

 同じ3歳の牡馬、キタサンブラック(牡3歳)とリアファル(牡3歳)も勝ち負けできる圏内にいるでしょう。

 特にリアファルは、前走の菊花賞(10月25日/京都・芝3000m)が「負けて強し」の内容でした。外から強引にハナを叩かれて、まったく自分の競馬ができなかっただけに、普通なら大敗してもおかしくありませんでした。にもかかわらず、直線で一旦抜け出す粘り強さを見せて、3着に食い込んだのです。

 実質的には、勝ったキタサンブラック以上のパフォーマンスを見せていたと思います。加えて、今回はハナを競るような馬が見当たりません。自分の競馬に徹することができそうですから、期待できる一頭です。

3連勝で重賞初勝利を遂げたゴールドアクター。その勢いで有馬記念制覇も狙う3連勝で重賞初勝利を遂げたゴールドアクター。その勢いで有馬記念制覇も狙う さて、今回の「ヒモ穴馬」には、ゴールドアクター(牡4歳)を取り上げたいと思います。3連勝でアルゼンチン共和国杯(11月8日/東京・芝2500m)を制して重賞初勝利を遂げると、ジャパンカップを見送って、この有馬記念に備えてきました。その臨戦過程に好感が持てます。

 この春先もそうでした。昨年の菊花賞で3着入線を果たしていますから、通常であれば、その後は年末の有馬記念を視野に入れ、年明けには春の天皇賞を最大目標とするところです。しかしゴールドアクターは、夏の函館開催まで休養していました。同馬の成長をうながすための、陣営の大英断です。まさにこうした過程が、この馬を大きく成長させて、重賞ウイナーへと導いたのだと思います。

 競走馬は時に、成長の過程でどんどんレースを使ってしまうと、成長が止まってしまうことがあります。ゴールドアクターの場合は、そうなってしまう可能性を避けて、きちんと実になったいい例ですね。

 いよいよ本格化目前のゴールドアクター。ここでビッグタイトルを獲得する可能性は十分にあります。

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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