朝日杯FSは、エアスピネルが10年越しの母の仇をここで討つ (2ページ目)

  • 平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki   photo by AFLO

 エアスピネルは9月12日の新馬戦(阪神・1600m)を勝利後、前走のGIIデイリー杯2歳S(11月14日/京都・1600m)を同レース史上最大着差となる3馬身1/2差で圧勝。既に来年のクラシック有力候補と見なされ、今回は圧倒的1番人気が予想されている。

 一方のリオンディーズは、約1カ月前の11月22日にデビュー戦(京都・芝2000m)を勝利で飾ったばかり。キャリアは1戦のみで、エアスピネルに比べると格下の立場である。母同士の対決はシーザリオに分があったが、このレースを迎える時点ではエアスピネルが一歩も二歩もリードしている感がある。

 さらに、エアスピネルに付随するエピソードがそのムードを後押しする。鞍上の武豊騎手は母エアメサイアにも騎乗しており、このレースを勝利すれば、JRAの平地GI22レース完全制覇という前人未踏の大記録を達成する。

 管理する笹田和秀調教師は、エアメサイアの現役時、所属していた伊藤雄二厩舎で調教助手として携わっていた。笹田調教師は伊藤雄二元調教師の義理の息子でもあるので、調教師も親子2代でこの馬を管理しているのである。エアメサイア産駒でGI制覇となれば、笹田調教師としてもいい親孝行となるはずだ。

 ちなみに、エアメサイアはエアスピネルがデビュー勝ちを収めたちょうど1年前の2014年9月12日、放牧中の事故により12歳の若さで死亡している。現1歳にもエアスピネルの全弟がいるが、産駒がGIに挑戦する機会も限られてくるので、今回はそれを逃したくないところだ。

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