【競馬】チャンピオンズC、決め手あるサウンドトゥルーが狙い目 (2ページ目)

 昨年の覇者ホッコータルマエは、そこで悲願のJRAのGI初勝利を飾りました。それ以降も、東京大賞典(2014年12月29日/大井・ダート2000m)、川崎記念(1月28日/川崎・ダート2100m)と、地方のGIレースも立て続けに快勝。まさに、この馬のピークを迎えたような感がありました。

 しかし休み明けの前走、JBCクラシックは「あれ?」と思わせる敗戦(3着)でした。確かに昨年も、チャンピオンズC直前の同レースで4着と敗れて、本番では一変した姿を見せてくれました。今回も1回使ってガラッと変わるのかもしれませんが、少し気になる負け方でした。年齢的にはピークを過ぎて、下降線をたどってもおかしくない状況にあります。馬券を予想するうえでは、その点の見極めが重要になりそうですね。

今年に入って、ひと皮むけたサウンドトゥルー今年に入って、ひと皮むけたサウンドトゥルー 人気馬それぞれに懸念がある中、今回の「ヒモ穴」には、意外と人気の盲点になりそうな、サウンドトゥルー(せん5歳)を取り上げたいと思います。

 今夏、今回と同じコースのジュライS(7月19日)を快勝したサウンドトゥルー。実は、同レースではそれまでのレースぶりとはちょっと違っていました。同馬は勝つときも負けるときも、おおよそ4コーナーでは大外に出して追い込んでくるのですが、このレースでは少し早めに仕掛けて、4コーナーでは内目を回って馬群を割って伸びてきたのです。これは、同馬にとっては大きな収穫で、この馬自身、ひと皮むけて、ランクアップした感がありました。

 実際にそれを証明したのが、日本テレビ盃でした。船橋の小回りを意識して、最初のコーナーですでに8番手の内を回って、残り800mくらいから進出し始めると、残り600mから仕掛けて、4コーナーでは3番手の好位まで上がっていきました。そしてそのまま、最後の直線でも脚色は衰えることなく、ゴールでは突き抜けていきました。

 非常に強い競馬でしたが、自ら動いて前に行く馬を捕らえ、終いもしっかりと伸びるということは、どんなレースにも対応できるということ。それだけ器用さも身につけてきたということでしょう。

 前走のJBCクラシックでは、1コーナーこそ中団の内をキープしていましたが、向こう正面、そして4コーナーから直線にかけても、外を回ることになってしまいました。結果、2着に終わって、鞍上の大野拓弥騎手もさぞ悔しかったことでしょう。でもこれは、乗り慣れない競馬場だったことを思えば、仕方がないこと。今回は、それを糧にしての巻き返しが期待できます。

 先週のジャパンカップ(11月29日/東京・芝2400m)では、ショウナンパンドラ(牝4歳)に騎乗した池添謙一騎手が、内にこだわって勝利をモノにしました。同様のイメージが、今度は大野騎手にもあるはずです。それができれば、決め手はGI級ですから、直線で前を行く強豪馬を捕らえ、ゴール板をトップで通過してもおかしくありません。

プロフィール

  • 大西直宏

    大西直宏 (おおにし・なおひろ)

    1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。

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