【競馬】外国人牧場長が訴える、中小牧場発展のための「手立て」 (3ページ目)

  • 河合力●文 text&photo by Kawai Chikara

 近年では、歴史ある大牧場でさえ、次々と閉鎖に追い込まれている。牝馬三冠を達成したメジロラモーヌや、GI5勝のメジロドーベルらを生んだメジロ牧場に、GI7勝のウオッカをはじめ、その父でダービー馬のタニノギムレットらを輩出したカントリー牧場などは、その象徴だろう。その中で、中小牧場の存続は簡単なものではなくなっているのだ。

 一方で、2015年のジャパンカップと有馬記念の1着賞金は、それぞれ5000万円ずつ増額され、ジャパンカップは3億円、有馬記念は2億5000万円となった。その他、天皇賞・春や天皇賞・秋、宝塚記念といったGIレースの1着賞金も1800万円増額された。そうした状況にあるだけに、スウィーニィ氏は「生産者賞」も、ピーク時の水準とは言わなくとも、生産牧場が希望を持てるような賞金の増額を切望している。

 スウィーニィ氏によるJRAへの「提案」は他にもある。それは、馬主と生産者とが交流できる場を作ることだ。

「海外では、レースがある日に馬主の方々が競馬場の部屋をレンタルできるんですね。彼らはそこで、招待したお客さんや、生産者などとともに、ゆっくりと競馬を観戦するわけです。現状、JRAの競馬場では、そういった部屋の使い方はできませんが、もし可能ならば、日本でもそういうシステムを作ってもらいたい。施設の規模に問題があるのは承知していますが、少しでもそういう部屋を提供してもらえれば、馬主と生産者が交流する場が一気に増えると思うんです。それは、生産者にとっては願ってもないことです」

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