【競馬】ドゥラメンテは、ディープ&オルフェを超える「器」か (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 また、歴史的な名馬たちに共通する特徴として、それまでのデータやジンクスを打ち破るという点がある。実はドゥラメンテも、ここまでにいくつかのデータを塗り替えて、「史上初」という実績を刻んでいる。

 まず、臨戦過程。ドゥラメンテは共同通信杯(2着。2月15日/東京・芝1800m)から直行で皐月賞を制したが、同じ過程で皐月賞を勝った馬は皆、共同通信杯も勝っている(2012年ゴールドシップ、2014年イスラボニータ)。同レースで敗れながらの皐月賞制覇は、1984年のグレード制導入以降は初めてだ。

 そして、ドゥラメンテはキングカメハメハ産駒として、初の牡馬クラシック制覇を果たした。キングカメハメハは、今やディープインパクトに並ぶ大種牡馬で、これまでも数々の名馬を輩出してきた。しかし、牝馬クラシックではアパパネらが制したものの、牡馬クラシックだけは無冠だった。ローズキングダム、コディーノ、トゥザワールド……など、数多くの有力馬が挑戦しながら、あと一歩及ばなかった。その“ジンクス”を、ドゥラメンテがついに打ち破ったのだ。

 加えて、ドゥラメンテの母系(アドマイヤグルーヴ)は、曾祖母にオークスを制したダイナカール、祖母にもオークス馬のエアグルーヴなどがいて、日本屈指の“血筋”を築いているが、牡馬のクラシックを制した馬はこの一族にはいなかった。そのジンクスさえ、ドゥラメンテは覆(くつがえ)してみせた。

 ちなみに、ドゥラメンテを管理する堀宣行調教師は、関東を代表する名トレーナーだが、同氏も3歳馬で安田記念を制したことはあったが(2011年、リアルインパクト)、クラシックには縁がなかった。ドゥラメンテは、そんな堀調教師にも初の栄冠をもたらした。

 こうしてみると、皐月賞の衝撃的な勝ち方も含めて、はやドゥラメンテを、ディープインパクトやオルフェーヴルに並ぶ“器”と評したくなるのはわかる。名馬となる“資質”も十分にある。だが、ドゥラメンテはまだ、クラシックの一冠目を手にしたに過ぎない。希代の名馬たちに並び、日本馬が果たせなかった凱旋門賞制覇を託すことができる馬かどうか、すべてはダービーで証明される。

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