【競馬】皐月賞狙うリアルスティール。名伯楽が評価を上方修正 (2ページ目)

  • 土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu
  • 村田利之●撮影 photo by Murata Toshiyuki

 とりわけ、期待されるのは、リアルスティールだ。2戦目で重賞の共同通信杯(2月15日/東京・芝1800m)を勝ったあと、トライアル戦のスプリングS(3月22日/中山・芝1800m)では苦杯(2着)をなめたが、それは本番への余力を残してのもの。レース後、矢作芳人調教師も、「今回は(皐月賞を見据えて)お釣りを残した仕上げだった」と語っている。それでいて、勝ったキタサンブラック(牡3歳)にクビ差まで迫ったのだから、本番への希望は膨らむばかりだ。

 また、獣医師の資格を持つ中日新聞の若原隆宏記者によれば、共同通信杯からスプリングSまでの間にも、リアルスティールの体のつくりがいい具合に変わってきたという。

「リアルスティールの体のバランスは、胴がゆったりしているわりに、背中がきゅっと締まっていて、もともと体幹のバネを感じさせる素晴らしい馬体でした。それが、さらに首さしがゆったりして、よくなったように思います」

「首さしがゆったりする」ということは、どういう効果があるのだろうか。若原記者が続ける。

「まず『首さしがゆったりする』ということは、首の骨より下の部分に奥行きができるということ。それは、胸郭(胸部の骨格)の広がりにつながります。なお、競走馬は胸郭の広さによって、スタミナを推し量ることができます。つまり、首さしがゆったりしてきたということは、スタミナ面の向上が期待できるということです。

 さらに『首さしがゆったりする』のは、気道が広くなっているということ。ならば、"換気能力"は着実にアップしていると考えられます。言い換えれば、それだけエンジン能力が上がっている、ということです」

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