【競馬】ルメール騎手の志「日本の馬で新たな歴史を創りたい」 (3ページ目)

  • 新山藍朗●取材・文 text&photo by Niiyama Airo

――奥様は、日本のどんなところが気に入っているのでしょうか。

「妻は、もともと活動的な女性で、新しい場所で何かを始めたり、探したりすることが好きなんです。あと、日本は安全ですからね。電車に乗ってもそうだし、どこに行っても、何をしていても、危険を感じることがほとんどありません。子どもがふたりいますから、彼女にとっては、それがいちばん大きいみたいですよ」

――ルメール騎手は、JRAの試験では、日本語を覚えるのに相当苦労したようですね。

「(日本語は)難しいですね。でも、競馬紙は読めますよ(笑)。馬の名前とジョッキーの名前、それに調教師の名前と、全部わかります」

――短期免許を初めて取得したのが、2002年。日本で騎乗するようになって、今年で14年目となりますが、これまで乗った馬の中で、最も印象に残っているのは、どの馬ですか。

「まず、僕に日本のGIを初めて勝たせてくれたハーツクライ(2005年有馬記念優勝。ディープインパクトを撃破)。それに、ウオッカ(2009年ジャパンカップ優勝)とカネヒキリ(2008年ジャパンカップダート優勝)。この3頭は強かったし、僕のこれまでのジョッキー人生の中でも、トップ5に入る、すごい馬たちです」

――ルメール騎手は騎乗の際、いつも心掛けていることはありますか。

「競馬は勝つことが大事ですから、いつも“勝ちたい”という強い気持ちを持って騎乗しています。だからといって、ただ勝てばいい、というものではありません。というのも、競走馬というのは、ほとんどの場合、目の前のレースだけでなく、そのあとにもレースが控えているからです。そこで大事なのは、常にその馬の次のレースのことを考えてあげること。必要以上に無理をさせないとか、次のレースにつなげるためにはどう乗るべきかなど、いつも先のことを考えながら乗るようにしています。強い馬、将来有望な馬に乗るときは、特にそうしたことを心掛けています」

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