【競馬】新種牡馬ハービンジャーの「出世頭」ベルーフの特性 (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

「京成杯は、外枠からのスタートで、終始外側を回る厳しい展開でした。にもかかわらず、直線では他馬をごぼう抜き。池江先生も、『中山であの勝ち方ができる馬はなかなかいない』と驚いていましたね。叔父に気性が激しかったことで有名なステイゴールドがいるベルーフ。自身も、レースでは引っかかって頭を上げるなど、まだ気性面に課題を抱えていますが、『その辺を解消できれば、さらにパフォーマンスは上がる』と、池江先生。伸びしろがまだまだ見込めるのは、大きいですね」

 父のハービンジャーは現役時代、4歳になってから本格化した晩成タイプだった。気性面だけでなく、そういった血統面からも、さらなるレベルアップが期待できるベルーフ。京成杯のあとはひと息入れて、今後はGIIスプリングS(3月22日/中山・芝1800m)を挟んで、GI皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)へと向かう。

 スプリングSでは、京成杯と同様、川田将雅騎手が手綱をとる。しかし、その後の騎手は未定とのこと。この時期に本番でのジョッキーが確定しないのは不安材料となるが、陣営は「皐月賞については、チャンスを感じている」と、前述のトラックマンが言う。

「ベルーフについて陣営は、切れ味こそ他馬に譲っても、持久力では世代トップクラスと見ているようです。そのため、『小回りで、早めからのスパート勝負に持ち込める中山競馬場は(ベルーフに)向いている』と考えています。実際、皐月賞が息の入らない展開での持久戦となれば、ベルーフが勝ち負けできる可能性は高くなると思いますよ」

 ハービンジャー産駒の代表として、3歳クラシックに挑むベルーフ。遠い異国から日本へとやって来た父に、初年度からいきなりクラシックタイトルをプレゼントできるのか。"孝行息子"の動向に注目したい。

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